【ADV】7年後で待ってる レビュー

7年後で待ってる_タイトル
7年後で待ってる[HIRAYA SPACE](iTunes)(Google Play)
価格:無料(本編は無料ですが、クリア後のサブストーリーに2種各240円の有料販売があります。)

(注:作品の魅力を伝えるために多少のネタバレを含みます。核心的なネタバレは含みません)

タイムリープ&闇医療ミステリーの秀作

本作は病院を舞台にした医療ミステリーとタイムリープSFを組み合わせた考察読み物系のADVです。

ボクセル的なフィールドとキャラで演出されるドラマで、RPGのようにプレイヤーが歩行キャラを動かして自宅や病院内、知人の個人病院を訪れることも。だけど、ほぼイベントシーンで進み映像を見ている内に物語の世界に入り込み、感情移入して先が気になってきます。考察系のお話ですが、それだけに注視したゲームでは無く、青春物語に加えて病気に対する生死感という深いテーマも関わる人間ドラマや意思のぶつかり合いなどの泥臭いドラマに大きな魅力があります。

主人公の三上ハルトは7年以上前の記憶を失っている青年。義理の両親により育てられ本当の両親も覚えていません。そんな彼が覚えている唯一のこと「7年後のあの場所で待っている」。誰の言葉か、どこの場所かも分からないまま、約束を果たそうとハルトはこの町に戻ってきます。
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序盤はミステリー系である雰囲気を一切出さずに知人で個人医院を経営している医院長やハルトがお世話になっていた病院で友人になった面々との再会があります。ハルトは友人知人を全て忘れてしまっており、初めての再開は不安と驚きの連続です。そして馴染みある場所や人と会うことで過去を思い出していきます。本作は過去描写もしっかりしていることが特徴で、各キャラは全て子供時バージョンのボクセルが用意されています。
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▲友人達との、のほほ~んとするやり取り。基本は殺伐としているので、癒しの空間です。

そして、友人達を思い出し交友を深めた頃に発覚することは、友人の1人が奇病に罹患しており余命宣告されていること、そして別の1人は心臓病で同じく先が無いこと。合わせて見えてくる病院の闇。加えてハルトは何故か、ある条件で記憶を持ったまま町に来た1日目にタイムリープするようになります。

タイムリープは何故起こるのか、友人達を助けるにはどうしたら、そしてハルトは7年前の約束を守ることができるのか。様々な謎が溜まっていき、ハルトは友人達を助けるべく時間を繰り返しながら駆け巡ることになります。

各キャラの青春物語を主軸としたタイムリープもの

考察系ゲームですが、本作を盛り上げているのは設定や伏線よりも前面に出ている登場人物のバックボーンやキャラによる掛け合いです。旧友達達が集まっての団欒はクスっと笑えるものから微笑ましくなる内容が多いです。過去は子供らしく、現在も仲の良さを象徴するかのような。

個人的にはハルトが教えて教えて君になっている点が多少気になりましたが、基本的には良キャラばかりです(設定が複雑であるため、仕方ない部分もありますが)。ハルトも挫折しながら記憶を取り戻すと共に強く成長していきます。

ハルトは記憶を思い出すという形で過去が描かれますが、他のキャラも同様です。そして、これが旧友などの味方陣営だけでなく、いわゆる敵側陣営に属するようなキャラの魅力を盛り上げています。単なる病院の暗部を仕る典型的な悪役キャラでは無く、それぞれに譲れない事情を持っています。エゴのぶつかり合いです。プレイヤーの中には彼らを正しいと思う方もいることでしょう。このようなキャラ描写をしながら、会話の中で気になる事件や真相が語られていくスタイルです。
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▲過去の子供時代はボクセルも可愛い

7年後で待ってる_敵
▲中盤、完全に敵役として映るキャラ達もバックボーンを知ると愛着が沸くようになっています。

そのため、物語として理想的な「キャラに感情移入する」→「そのキャラのバックボーンが分かってくる」→「問題の解決方法を探るため世界設定に興味を持った頃に設定が説明しはじめる」プロットになっています。決して俺設定を説明して終わるだけのお話では無く、エンターテイメントとしても優れたゲームです。章分けして章クリア毎にセーブと広告閲覧が発生するのですが、その章の最後は気になるセリフが出てくるためついつい先をプレイしてしまいます。

設定に関しても、本当に伏線がよく練られています。時系列のトリックに加え、人物関係の伏線、生死に関わる変化。ハルトはある時系列では正面から調査し、別の時系列では友人に付きそう形で調査します。その違いによる他キャラの変化など些細な箇所にも伏線は眠っています。もう一つ付け加えるならタイムリープの条件に大きな制限があるため、簡単に事態を円満解決できません。想像以上に壮大な時空ストーリーが語られます。そして複雑な設定をハルトと共に解いていくことで感動的な結末を迎えることができるでしょう。
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▲シリアス面は相当ハードで、作中キャラの心を削るような設定ばかり。

なお、本編クリア後は主人公を別のとあるキャラに切り替えて本編第二章と呼んでも良いその後の話が解放されます。本編ほどのボリュームはありませんが、それでも1時間ほど。本編は人間ドラマ的な面白さを意識した演出だったのに対し、その後の話は本編より壮大なタイムリープ物語で完全に設定厨歓喜な内容。本編で残っているいくつかの伏線を回収します。そして、本当に膨大なタイムリープに決着がつきます。

本編(その後の本編2章も含む)以外は有料コンテンツになっています。サブストーリー2パックと設定やおまけコンテンツを収録した1パック。サブストーリーは共にハルト以外を主役にしたミニストーリー。パックAは5本のストーリーとその後の話の広告除去。5本のストーリーはその後の話に関連する内容です。パックBは本編のサイドストーリーとなっています。各240円でセットだと多少格安。

クリア時間は5時間ほど、物語が進めば進むほどボクセル風のキャラもだんだん可愛く見えてきて、キャラにも感情移入していく良シナリオのゲームでした。物語としても面白く設定としても考察が楽しいゲームです。クリア時は感動して余韻に浸り泣きたくなるかも。

ダウンロードはこちら

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