【フランス製JRPG】Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー

Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_アニメ1

Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_タイトル
Light Fairytale Episode 1[neko.works]

対象:PC

現在、アーリーアクセス中です。物語はソラ編を最後まで遊べます。製品版ではヒロインであるクロト編の追加、ミニゲーム、エネミーの追加、バランス調整を含んだ修正が施されるようです。アーリーアクセス後、価格は2倍になる予定。

フリーゲームのRPGはRPGツクールMV、いわゆる2D製でありファミコンからスーファミRPGの流れを組んでいます。商業RPGは時代の最先端を行くフル3DのRPGを提供しています。その間にはPS1,PS2、いわば3Dポリゴンが始まり発展してきた時代があります。現在のPS3やPS4で作られるRPGとPS1,PSで作られたRPGは、経脈としては明らかな違いがあります。本来PS1,2クオリティを担っていたはずのスマホはソシャゲで溢れかえっています。PS1,2時代のRPGをプレイしたいと思っている方は多いのではないでしょうか。

本作はフランスの個人製作ディベロッパーneko.works(ネコぱらのNEKO WORKsとは別)が製作したJRPGです。UNITY製のフル3Dであり、PS1,2時代のJRPG、特にFF7をリスペクトしていることが伺える作品です。タイトルにエピソード1とありますが、本作のみでは完結せず、続編が製作されることは決定事項となっています。エピソード1は主人公が旅立つまでのオープニングに該当する部分を楽しむことができます。

スチームパンクなディストピア地下世界を舞台に少年少女が活躍する3DのJRPG

科学技術が進歩をし世界が繁栄していた時代は一瞬のうちに破壊されました。その後、人類は地下に逃げることで生き残ります。それから1000年、帝国の搾取の元、地下世界は繁栄を極めています。帝国圧政下、最下層の貧民街で暮らす少年ハルと彼を慕う少女クロコの物語。
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▲夢の中で見た「青い天井」を不思議がるハルとそれをおかしがるクロコ。物語はここから始まります。

古き良きJRPGを目指して作られたとのことで、オープニングムービーからは期待感がこみ上げてきます。フランス製ですがStudio神無月がBGMを担当、romiyがイラストを担当、また、日本語訳も良好です。
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まずプレイして感じたのは、FF7の影響を強く受けていること。

アーリーアクセス版の舞台となるのは、主に最下層の貧民都市が舞台ですが、「帝国の兵士達に虐げられる貧民層の人間」、「機械でできたスチームパンク都市」、「銃やロボットを多用する帝国兵」などFF7のミッドガルの影響を受けたかのような雰囲気を見せています。プレイヤーは町施設を備えた貧民都市とスラムで会話をしながら、ダンジョンの探索をすることになります。
Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_町風景1 Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_町風景2 Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_町風景3 Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_町風景4
▲3Dで作り込まれた世界の中を歩き回ります。
Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_キャラ1 Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_キャラ2 Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_キャラ3 Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_キャラ4
▲イラストありのキャラ達。

地下世界で失われた「空」という概念、発達した文明とスチームパンクな世界、少年少女のボーイミーツガールや、先に少年と大きく関わりそうな謎の少女への布石。日本風のRPGでありながらフランスで考えられた価値観が、ワクワクする世界観を作り上げています。

歩行時のカメラワークは、そのあたり一帯を映し出すことを基本としつつ、ある特定の場所に移動すると、その場所を拡大した別のグラフィックを表示します。戦闘仕様や戦闘時のカメラワーク・モーションも懐かしさがあります。スチームパンクの世界を走り回って、町の住人と話す楽しさはPS系RPGのそれと遜色ありません。道に迷った場合は画面の拡大でき、メニュー画面ではお助けキャラが次に進行する場所を教えてくれます。

ただし、一度話したNPC達はフラグで文章が変化するまで2回話すことはできないという仕様があります。そのため、寂しさを覚えることも。

戦闘システムは独特。ランダムエンカウント方式ですが、各エリア内の出現最大回数が決まっています。一度敵とエンカウントすると逃げるボタンはありません。出現最大回数はパーセント表示で、戦闘が終了するたびに減少、0%になるとその場でのエンカウントは一切無くなります。つまり雑魚・ボス戦を含めて最大戦闘回数を固定化する戦闘仕様です。
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▲ゲーム内キャラがARを利用するという設定で、敵出現率や場所移動ができる箇所などを表示します。

戦闘は、ダンジョンからそのままカメラワークを変える程度でシームレスに移行、そのまま速さの概念があるCTBバトルとなります(速さの仕様はFF10とほぼ同じ)。戦闘は装備した武器での攻撃2種、MPを使用する「オーブ」、防御の「見張り」、そして「アイテム」とオーソドックスな仕様。魔法に該当するオーブは店などで購入して入手するようです(アーリーアクセスでは初期オーブのみ)。行動を選択するとクールタイムが発動。0になったキャラ・敵から行動を開始します。
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キャラには行動したり敵から攻撃を受けると溜まるRageゲージが存在し、満タンになると、特殊技を使用することが可能。ハルは全体回復スキル、クロコは単体への5連コンボスキル。
攻撃時は、それぞれ専用のモーションをその場で取ります。例えば「ライトソードで斬る」なら、その場でライトソードを構えて斬るポーズ、その後、敵のやられモーションです。「いなずま」なら、使用キャラにオーラが立ち、敵に電撃が降りかかります。
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FF7の時代をオマージュしているとは言え、UNITYのアセットで作られたスチームパンクな風景、そして味方・敵キャラポリゴンは現代のそれであり、現代基準の造形物+PS1,PS2時代のシステムを継承しているRPGと言えます。

その上で本作の特色を挙げるなら、ユーザーに押し付け過ぎないミニゲームが挙げられます。デモ版でさえ、すでに3種。見張る帝国兵の目を避けて先に進むミニイベント、縦に進むFC風のレースゲーム、他1種。それぞれ難しすぎず、適度に2,3度失敗するぐらいでコツを掴んでクリアできるのですが、どうしてもクリアできなければスキップも可能になっています(ただしクリア報酬もありますが)。
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▲作中内ゲームをプレイするというミニゲーム。今回の場合は特殊で、基本的にはゲームの作風にあったミニゲームが用意されています。

往年の懐かしさと現代技術の組み合わせで興味深いゲームになっていると思います。

光る原石ではあるけど、尖り過ぎて人を選びそうな面もあるかな

まず、重要なことは最大戦闘回数が決まっている仕様。これは一定場所ごとにレベルを固定してしまうことで、ボス戦などを製作者側の想定で遊んでもらう手法です。コンシューマーで採用した事例だと、FF13は特定場所までの最大レベルを固定しており、概念としては全く同じです。この手法の欠点は、ボスがどうしても倒せない時にプレイヤーが強化する手段が無くなってしまうことです。よって、徹底的な敵バランスの調整が必要です。

合わせて本作の、少なくともアーリーアクセス版をプレイすると、お世辞にも戦闘バランスが良いとは言えません。例えば2人パーティー&雑魚戦で4撃食らうとHP0になる状態で、敵が1体の時もあれば最大4体の時もあります。敵は2,3撃で1匹倒せるレベル。また、戦闘回数が限られる(入手資金が限られている)&回復魔法が無い状態と言うことでゲーム全体を通して入手できる回復アイテムも制限されます。味方キャラの命中率も低く、ダメージ幅も大きいためダメージが安定しません。

回復アイテム等リソース管理も含めた難易度の高い戦闘が製品版でも続く可能性があります。つまり見た目とは裏腹にライトゲーマーには向かないRPGです。

また、コマンド入力後のモーションを見てから攻撃するまでに時間がかかります。これもFFのオマージュだと思うのですが、当時はCDの読み込み遅延に対処するための苦肉の策でもありました。さすがに現代なら倍速機能など速度改善の何かが必要かと感じます。その他、ダッシュや歩行時の初期スピードが遅い、UIがダサい(操作は快適なので問題無し)、会話に説明不足が目立つため状況が理解しにくい、次に行く場所がヒント機能を使っても分かりにくいことが何度か、など個人的に問題点と思うことがちらほら。
Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_ヒント機能
▲次の行動を教えてくれるヒント機能。
Light Fairytale Episode 1(ライト フェアリーテイル) レビュー_ステータス
▲ステータス画面

ただ、これらの問題点を踏まえても、商業RPGが利潤面の問題で開発できず、且つインディーズでは製作難易度の高さから開発できない分野に敢えて踏み込んだことは大きく評価したいところです。世界観を構成する町・ダンジョンフィールドはよく出来ています。キャラの掛け合いも往年のRPGを見ているようでニヤニヤできる内容が多いし、イベントは3Dによる映像演出で盛り上げてくれます。懐かしさと新鮮さが入り混じっていて、なんだかんだと先に進めたくなるゲームでした。まだデモ版であり、問題点を製作者が求めているため、これらの問題点は改善される可能性も高いと思います。

プレイ時間は約3時間ほど。エピソード1は他RPGで言う「最初の村できっかけが出来て旅立つことになる」程度の序盤でぶっちゃけ物足りなさがあるのですが、今後に期待できるゲームではないかと思います。まあ、正直に言えばエピソード1は、内容的にも分量的にも体験版みたいなものなので購入を検討する場合はそれを踏まえてください。でも、少なくとも私はレビューを書きたくなるほどには感銘を受けましたし、それだけの作り込みはしていると感じられます。まだまだ序盤なので、シリーズ完結まで時間はかかりそうですが。

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