【戦略シミュレーションRPG】PIRATES7(パイレーツ7)  レビュー

PIRATES 7
PIRATES 7[773]
価格:1,620円

海賊達が闊歩する海が舞台のシミュレーションRPG

かつて大きな災厄がおき、大地が海に沈んだ世界、現在は多々存在する島の上で人間が暮らしています。そして各島々の遺跡を巡って財宝を探したり、船を略奪したりする海賊が闊歩する時代。閉ざされて誰も入れなかった島が解放されました。様々な組織が島の財宝を狙うべく動き出します。しかし、この島の財宝には世界を揺るがすような大きな秘密がありました。

本作はこの世界観の中で義賊の海賊団を率いる女船長カリビアとなって、島の秘密を探っていくファイアーエムブレム系のシミュレーションRPGです。ONE PIECEに影響を受けたかのような、陽気な海賊達や秘宝の島々を背景に、海賊だけでなく、(日本人が想像するラノベ的な)エリザベス女王あたりのイギリスをイメージした国、アーサー王物語のような国も登場する独特な文明のファンタジー世界が舞台です。
PIRATES7(パイレーツ7)_ストーリー1 PIRATES7(パイレーツ7)_ストーリー2 PIRATES7(パイレーツ7)_ストーリー3 PIRATES7(パイレーツ7)_ストーリー4

魅力的なキャラによる掛け合いと少しずつ明かされていく世界の謎。773は過去作においてもキャラの魅力を会話の中で引き出すことに優れていますが、本作でも活きています。会話イベントは戦闘パートの前後とインターミッション中に行動ポイントと共に選択できる仲間との会話。RPGと比べると物語部分も短めですが、テンポが良く、楽しく読むための要点をおさえています。プレイすることで、最初はキャラの魅力により先が気になり、そしてだんだんと世界に纏わる謎も気になってきます。
PIRATES7(パイレーツ7)_すれ違い1 PIRATES7(パイレーツ7)_すれ違い2 PIRATES7(パイレーツ7)_すれ違い3 PIRATES7(パイレーツ7)_すれ違い4
▲海賊を認めない敬愛する女王の部下キッドが主人公カリビアの悪行を述べて、それに反論する場面。この内容だけでも主人公の魅力がそれなりに伝わっていますし、噛み合わない可笑しさなど会話そのものにも面白味があります。

酒が好きで自堕落的な生活を送りながらも、海と冒険を愛し実際に行動力もあり、常に前向きな主人公のカリビアはカリスマがあります。適当な発言ばかりしているのに、いざとなったら芯がぶれません。そんな彼女に憧れた島の住人であるキャラ、ある国家の円卓の騎士の1人であり、いつもカリビアに挑んでは負けていくツンデレ女性、海賊嫌いなのに手柄のため海賊であるカリビアと一緒に行動する男性。仲間達は個性的な奴らばかりです。
PIRATES7(パイレーツ7)_編成前
▲各ステージの間に誰かパーティーメンバーの1人を取り上げて、その時の思いを独白するシーンなどもあります。

また、シナリオ面に関しては、少年ジャンプのテーマである「友情」「努力」「勝利」が似合うような冒険活劇になっています。昨日の敵は今日の友。海賊戦も戦なので人死もありますが、敵だったキャラが味方陣営につく熱い展開もあります。嫌なことがあっても前向きで、そして過去に向き合う時は真剣に。大人も楽しめる中高生向きシナリオという印象で、表ではキャラのやり取りがありつつも、世界観の根本などの伏線もしっかり立てています。そしてラストは回収の気持ち良さも。ただし、続編を想定しているようで、一部の謎は残っています。(いわゆる海外ドラマのシーズンラストのような終わり方で、そのシーズンで片付けなければいけない伏線は綺麗に回収されます。)
PIRATES7(パイレーツ7)_対決1 PIRATES7(パイレーツ7)_対決2 PIRATES7(パイレーツ7)_対決3 PIRATES7(パイレーツ7)_対決4
▲様々な価値観による対立や和解、別れなど戦場での熱い物語。

超快適なシステムと初心者でも安心して遊べる戦闘仕様

楽曲数、雑魚敵のグラフィックなどは一つ一つを丁寧に作ることで、シナリオ・戦略パート・音楽・UIなどあらゆる箇所で痒い部分に手が届いており工業製品として高品質にまとまっています。UNITY製ですが、背景ドットも明るみがあり、SRPG Studio製作品との区別化ができています。ステージ数はフリー・メイン含めて25前後。
PIRATES7(パイレーツ7)_ステージ1 PIRATES7(パイレーツ7)_ステージ2
▲1マップ、1マップが美麗で戦略的にも面白いマップをしています。

PIRATES7(パイレーツ7)_攻撃1 PIRATES7(パイレーツ7)_攻撃2 PIRATES7(パイレーツ7)_攻撃3
▲攻撃の流れ。

PIRATES7(パイレーツ7)_レベルアップ
▲レベルアップ

PIRATES7(パイレーツ7)_ターン開始
▲ターン開始。このような1つ1つの演出が気持ちいい。

マップは拡大縮小が可能、HP残量や敵の移動位置が一発で分かる機能のON,OFF設定、勝利条件の確認や中断セーブ、マウス右クリックによるステータス一発表示では必要な情報が全て揃っています。
PIRATES7(パイレーツ7)_範囲1 PIRATES7(パイレーツ7)_範囲2
▲敵移動位置を表示すると紫で表示されます。合わせて敵ユニットの能力も確認可能なため、安全領域の把握は容易。

まず、プレイして印象に残ったのは音楽の良さ。頭の中でリピートするほどメロディセンスが良く、それでいて陽気な海らしさとSRPGらしさが混在している良曲揃いです。外れの曲がありません。プロモーションビデオは味方側ターンのテーマが流れていますので、そちらで確認してみると分かるかと思います。

ゲームシステムは非常にシンプルです。

編成画面と戦略パートを交互にプレイしながら進めます。編成画面では装備を整えたり武器を強化したり行動ポイントを使用して仲間と話したり。いわゆる買い物の機能は無く、装備は全てドロップ、又は戦闘マップの宝箱のみです。お金は武器強化にて使用します。キャラ会話は上記キャラの日常パートが閲覧できる他、該当キャラがスキルを覚えたり、スキルが強化されたりします。
PIRATES7(パイレーツ7)_編成画面
▲編成画面。
PIRATES7(パイレーツ7)_あらすじ
▲一度クリアしたステージはあらすじが読めます。
PIRATES7(パイレーツ7)_会話選択 PIRATES7(パイレーツ7)_会話イベント1 PIRATES7(パイレーツ7)_会話イベント2
▲戦闘中の特定ミッションを達成することで溜まる行動ポイントを利用して会話を行います。

戦略パートはメインシナリオとフリーシナリオがあり、フリーは何度もプレイしてレベル上げが可能。戦略パートはファイアーエムブレムから受け継がれたタクティカル戦闘を採用しながらも、機能をとことん削ぎ落したシステムが特徴です。中には初代FE以後、他メーカーSRPGも含めて伝統的なシステムまでも省いているものがあります。私が気づいた中では以下のようなもの。

  • 会心の一撃が存在せず、ダメージ量は攻撃前に判明
  • 敵味方共に反撃がありません。
  • 範囲攻撃が存在しません。
  • アイテムが存在しません。

特に印象的なのが、状態異常。毒、眠りなどのステータス異常が無く、合わせてキュアなどの状態異常回復も存在しません。代わりに鈍足(最大歩行距離-1)や攻撃力など各種ステータス減少状態異常があります。回復方法はターン経過のみ。想像でしか無いのですが、毒や麻痺などは敵味方の使用だと、すぐ倒す敵よりも恒久的に影響が残る味方の被害が大きめです。しかし、ステータス減少・上昇系は、敵味方共に適宜使用すれば大きな恩恵があります。この不平等感がストレスになるので省いたのかなと。

加えて、数値面でも工夫があります。命中率や回避率の概念がありますが、基本的に味方の命中率高めで、一部の中ボスクラス以外はミスがあまりありません。また、敵にステータス下降系特技を使用すると100%効きます(味方でも同じですが……)。キャラの歩行距離は4~6ほどであり、極端に少ない多いがありません(足場が水だと1~2になってしまう敵味方もいますが)。敵の数は終盤でも味方7人に対して20人程度いるかどうかでSRPGとしては控えめ。1戦1戦がサクサク進みます。

これら本作独自の仕様は、それぞれ数値バランスやCPU側の調整によるところが多く、プレイヤーがシステムを覚える必要がほとんどありません。そして不思議なことに、これだけ仕様が独特ながら、プレイ感覚は「スーファミ時代のSRPGを快適にしたゲーム」です。おそらく、製作者側がSRPGをプレイする中でストレスを覚える部分を省いた結果だと思うのですが、そのおかげで非常にシンプルでSRPG初心者の入門的なゲームとしても最適に感じます。

次に難易度とレベルに関して。推奨レベルで挑めば程よい難易度が感じられるゲームですが、フリーマップを利用することで推奨レベル+2~3までは短時間で上げることができます。と言うのも、快適なレベル上昇が感じられるよう経験値関連の調整がされており、近似レベルの間はかなり経験値がたまりやすくなっています。また、行動(敵への攻撃、味方への回復など)の経験値量も他SRPGと比べると多め。合わせて敵は推奨レベルだと3撃かかるけど、レベルが1増える・武器を推奨より1つ増やすと2撃になるような成長の実感でができるバランス。

これにより、1,2レベルの差で大きく難易度が異なり、高難易度ゲームが好きな方は適正難易度でプレイすれば、手ごたえのあるタクティカル戦闘を楽しめるかと。

オーソドックスなシステムながらも、様々な工夫でオリジナリティが強い戦略システムを生み出しています。

これらはあくまで、快適にゲームを楽しんでもらうためのゲームデザインですが、合わせて戦略性を高めるための施策も見受けられます。上記でスーファミ時代うんぬんと書きましたが、下記施策により本作独自の面白さが生まれています。

まず、敵味方共に撃たれ弱いです。だいたい剣士系の前衛は3発、魔法使いや銃士系などの後衛は2発貰ったらお陀仏してしまう難易度。戦闘不能回復もありません。そのため、味方陣営がなるべくダメージを受けずに敵陣営を一方的に攻撃するような間合い作りなどが非常に大切です。余談ですが、上記の1,2レベル差や武器レベル差で敵に与えるダメージが1撃分少なくなり、味方の戦闘不能も1撃分少なるなることが、どれだけ難易度を下げるか想像していただければ、本作の戦闘調整が初心者・熟練者に対応するようにどれだけ繊細に行われたか想像できるかと思います。

その上で、各マップでスキルの使用回数が決まっている点があります。この使用回数が基本的に少なめで、例外もありますが3,4回。これには回復も含まれており、上述したように本作にアイテムの概念がありません。そのため、どう敵の攻撃を避けるか、そしていつ回復を行うかは重要な選択になります。また、回復魔法の回復量より敵の攻撃ダメージの方がわずかに大きいことがほとんどのため、、敵が近くにいる場合は回復よりも1体でも多くの敵を……みたいな考え方が必要になります。

仲間は基本は接近戦+攻撃力重視のキャラ、遠距離から狙撃や魔法で戦うキャラに分かれており、さらに1人補助特化のキャラがいます。回復の使用回数が制限されているためか、回復系スキルを持つキャラは前衛後衛関係無くそれなりにいます。銃系キャラは2種類のパターンがあり、1種類は周囲3マスに攻撃可能、そしてもう1種は上下左右の直線2~4マスが攻撃範囲。
PIRATES7(パイレーツ7)_飛び道具範囲1 PIRATES7(パイレーツ7)_飛び道具範囲2
▲銃系の攻撃はこの範囲が基本。

仲間について1人だけ述べておくと、ある味方キャラは回復以外あまり使えないサポートキャラなのですが、行動終了した味方の行動力を回復させるスキルを使います(しかも使用回数に制限が無い)。さらに上記で敵のダメージ > 味方の回復量と書きましたが、彼女だけは特別で敵の攻撃力を上回る回復量を持ちます。つまり彼女の場合、攻撃力が高い味方を再起動させるか、味方を大回復させるか。すごい便利だけど、後衛キャラで撃たれ弱く、配置位置も難しめ。彼女の存在そのものが他SRPGと戦略を区別化する要因となっています。
PIRATES7(パイレーツ7)_サポートキャラ
▲強力なサポートでメンバーに欠かせないキャラ。回復可能回数も8回と多め。

その上でメインシナリオの戦闘パートについて言及しておくと、ステージ一つ一つが練られています。いわゆる、適当に配置したようなマップが一つも無く、全て計算された上で敵やギミックの配置を行っています。

1つだけ代表的なイベントを取り上げると、救出系など速度を重視するミッションが多いこと。救出系のキャラは敵ターンの後、味方ターンになる前に自動的に動いて敵を攻撃します。その際、敵ユニットや救出系ユニットの動きを誘導しないとクリアができないパターンをよく見かけました。例えば、味方・救出間の敵を全て倒すと、救出キャラは味方とは反対方向の敵を倒しにいきます。味方を急いで前進させないと、味方・救出間の敵が救出キャラに向かってしまいます。いずれも、味方のレベル関係無しにパズル的な発想でターンを進めていく必要がありました。

その他、極端に細長い洞窟系ダンジョンを進んだり、味方のスタート位置が分断されたりと、なかなか類を見ないような癖のあるマップが多めですね。単調さが全くありません。ラスボス戦もちょっと変わった趣向が凝らされています。
PIRATES7(パイレーツ7)_分断ステージ
▲初期位置が分断されているマップ。地味に辛い。

PIRATES7(パイレーツ7)_勝利条件
▲勝利条件も一つのやり込みですね。AP(行動ポイント)はフリーエリアでも入手できるので必須ではありません。

このことから初心者にも上級者にも安心して勧めることができるゲームバランスなのですが、序盤について言及すると相反して難易度が高めです。あるステージをクリアするまでフリーマップが存在しないためレベル上げができず、その上で救出任務も待ち受けているためです。

プレイ時間は12時間ほど。シンプルなシステムに捻りがあるステージ構成で、シミュレーションRPGとしての快適さ、面白さがしっかりと確保されていますし、キャラやストーリーも王道で魅力的で元気を貰えます。シミュレーションRPGを何かプレイしたいと思ったら候補に入れておいて間違いの無いゲームかと思います。

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