90年代をフューチャーした横スクロールアクション。ステージ構成が実によく、「低難易度~やり込みによる高難易度までカバー」「ジャンプ時やダッシュ時のみ攻撃判定があるソニック方式+マリオ風ステージ」での新鮮さ、移動しながら戦うボスが多く、ボス戦の発想の面白さが特徴。
ポリーロール ザ・ローリング・バグ[Spicy Gyro Games] (公式サイト / Steam / Switch)
ポリーロールはカラフルな虫をテーマにした横スクロールアクションゲームです。スーファミ時代をフューチャーしたグラフィックやカラフルな音楽をしており、各ステージのレベルデザインも練られている良作です。画面上は最近のよくあるスーファミ風アクションですが、アクションゲームとしては間違いなく当たりの部類。
紹介ページの日本語は怪しいですが、そもそもゲーム内で言葉は使われないので問題ありません。そもそも、序盤のチュートリアルも上手にイラストだけで特殊アイテムの効能や操作方法を伝えています。
ソニック系操作でマリオ系ステージな横スクロールアクション
主人公が立ち止まったり普通に動いている間は攻撃方法を持ちません。でも、ジャンプすると必ずローリングジャンプをします。この時、主人公は敵の放つ弾や棘などのトラップにこそ当たり判定を持ちますが、敵に関しては完全に無敵です。そして回転中に敵に接触すると敵を倒せます。ボスにはダメージを与えれます。
また、ボタン押下中に力を溜めて離すと、高速でローリング直進します。この時もローリングジャンプと同判定。高速でどんどん敵を倒せます。高速ローリング中はジャンプボタンで速度を維持しつつジャンプ、そして壁があると跳ね返ってどんどん上へ登ることができます。
その他、特殊な効果を持ったアイテムをステージで入手することも。近くのアイテムや宝石を磁力で自動吸引、真下に爆弾を落とす、空中をゆったり浮遊などの効果があります。
▲あるアイテムは棘ギミックを無効化します。
▲ステージ内で入手する他、ステージクリア後はダッシュによる移動で止まった場所にアイテムがあれば入手できる仕組み。
体力は最大3で1から開始。ステージ中に散らばっている宝石を取り10になることで体力が1増えます。ステージ各中に散らばっている中、ボス戦でもなんらかの手段で定期的に宝石がばら撒かれることがあります。
面白さのポイントは上記にも書きましたが、マリオ系のテンポでソニック系の動きをすること。ジャンプや溜めダッシュをして回転しないと攻撃判定がでないため、いつもの(マリオの癖で)上から下に落ちる挙動で敵を倒せずダメージを受ける反面、ジャンプで下から頭突きでダメージを与えられる面白さ。そして、マリオ系のように敵に攻撃が当たるとその敵に反転するようにプレイヤーキャラが飛びはねること。
一方通行ダッシュ移動、ダッシュ強力ジャンプ台などの高速ギミックでスピード感を出す箇所もありますが、基本的には速度は重視しないスタイル。制限時間等も基本的にはないため(一部制限時間が設けられているステージもあります)、罠ギミックなどはじっくりと避けて通れます。
▲高速ジャンプ台でピョーン。
▲触れると高速で反対方向に移動。プレイヤーキャラ自身は回転しないため、敵に接すととダメージ。
広さは横方向だけでなく、縦方向にもそれなりに取っており、ほとんどのステージでクリアまで複数の道のりがあり、好きなルートでクリアを目指せます。
さて、本作の雰囲気を味わってもらうため、序盤の各ステージを紹介します。
▲オーソドックでチュートリアルなワールド1シーフォーム・エーカーズ。ステージによって昼と夜に分かれます。グラフィック上は平凡ですが、ジャンプ台、上下への移動も多彩なステージ群と本作の魅力はステージ1からも伝わってきます。
▲ワールド2ワジェットアイランド。上下に動いてプレイヤーを押し出すギミック、こちらのアクションで左右に動くボールなどが特徴。
▲ワールド3ファイア。一定時間バーナーが出るギミック、乗ると動くギミックなどが登場。
▲ワールド4マーブルミュージアム。は鉄球と触れると消える床などが登場。
プレイヤーキャラの攻撃方法がタックルであることから、ボスを倒す方法は基本的に隙を狙ってのタックル。タックル中は弾以外の無敵判定のおかげでボスに平気で体当たりができます。
そのためか、本作のボスは他アクションゲームではなかなか見ない変わった動きをするボスキャラばかり。ほとんどのボス戦で、縦、又は横に大幅にステージコースを用意しており、その中を決まった規則でボスが動くようになっています。アスレチック面のような仕掛けや動きを要求されるボス戦も多め。基本はそのステージで初めて用意された雑魚敵やギミックと一緒にボスが登場するところがミソで、それらがプレイヤーの敵になると同時に、ボスに体当たりするための足場になるなど助けにもなっています。
そのためか、ボス戦は新鮮さとスピード感を感じられます。
▲ワールド1ボス。空中から下に雑魚を放ってくるボス。当然未回転の時はダメージを受けます。雑魚を足場にしてボスに体当たりをして倒します。
▲ワールド2ボス。エレキを溜めてから放ってきます。回転中でもエレキはダメージ判定があるため、エレキを避けながらひたすらタックル。珍しく激しく動かないボスなので当たりやすい。
▲ワールド3ボス。地面からファイアバーが登場するコースを右に右にオートスクロールするボス戦。ボスそのものは定期的に角のようなバーナーを出す攻撃と火の玉を放つ攻撃を交互に繰り返しながら画面上を動き回り、だんだんと右に移動します。当然ですが、バーナーは回転時もダメージあり。
▲ワールド4ボス。縦に長いコースでボス戦。ボスから鉄球がぐるんぐるん回っていて当たるとダメージ。プレイヤーの攻撃が当たると、物理挙動で下から上なら上方向へ、逆なら下方向へ普通よりも激しくぶっ飛ぶため、ボスの鉄球に気を付けながら1回1回追う必要があります。
難易度バランスの絶妙さ
各ステージはマリオワールドのようにステージをクリアすると新たな道ができるフィールドを選択してはじめます。基本は一本道で、1ワールドで約3,4ステージ。だけど、各ステージ内には3つの大宝石がどこかにあり、これを溜めることで隠しワールドへの道が開かれるようになります。
難易度調整が適確で、おそらく参考にしたのがマリオワールド。序盤~中盤は比較的低難易度、後半になると歯ごたえもあるステージが出てくるけど超高難易度ではない絶妙な調整が施されています。その割にアクショングラフィックの見栄え、操作の快適感、各ステージに施されたギミックが良いため、低難易度でも楽しめます。
また、ステージそのものは低難易度ですが、隠しワールドへの鍵となる大宝石を入手するのは簡単にいかないようになっています。他のステージから爆弾を持ってこないと進めない場所、一度ミスするとステージをやり直さないと絶対に取れない場所、足場の狭いジャンプ台を数台経由して行ける場所、迷路状や隠し通路となっている場所などなど。宝石取得そのものが中~高難易度プレイヤー用のやり込み要素となっています。
▲宝石は見えていても取るのが難しい場所ばかり。普通にプレイしていると入手できないけど、狙って探すと以外と入手しやすい大宝石も多め。一種のやり込み要素です。
大宝石を入手して進めるステージも、中・高難易度プレイヤーを対象にしているのか、ほどほど難しめ。
つまり、正規ステージ前半~中半は低難易度、後半は中難易度、そして各ステージの大宝石の在処は中~高難易度、隠しステージは高難易度という構成になっています。ラストの方や隠しコースは私の腕では若干、厳しい時も出てきましたが、概ね快適に遊べる作りです。
ワールドは全14(隠しエリア含む)、私のプレイ時間は5時間ぐらいですが、まだ全ての大宝石は集めていません。本作は懐かしさや操作の面白さなどアピールポイントは沢山ありますが、やっぱり私が紹介したいのは、ステージ構成の良さですね。アクションが苦手でも楽しめる良作です。
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