【ADV】ポストアポカリプスベーカリー レビュー

ポストアポカリプスベーカリー_タイトル
ポストアポカリプスベーカリー[ズィーマ](iTunes)(Google Play)
価格:無料(スタミナ回復や広告除去、スタミナ最大数、スタミナ回復速度などの有料要素もあります)

汚染された水・食事を取り、変異した生物が闊歩している人類が滅びゆく荒れ果てた終末世界、1軒のパン屋が回転しました。まともな食べ物が無い中、暗黒物質(ダークマター)から生成する一切の汚染が無い純粋培養で本物のパンを売る店です。殺伐とした終末世界で唯一ほっとする安らぎ空間でもあるベーカリー展。このパン屋のマスターである貴方はロボット「ホーム君」と一緒にパンを販売。パン屋さんに訪れた様々な客とホーム君の会話で物語が進んでいきます。

パン屋店内の会話のみで綴られる世紀末世界

ゲームはまず、「かいてん」することから始まります。
ポストアポカリプスベーカリー_メニュー

「かいてん」すると様々なお客がパンを食べにきます。彼ら彼女らにパンを渡すと100Gを入手。全員を捌き切るか、パンが品切れになるまで販売するとその日は終了。全員にパンを配ると500Gのボーナス。そして入手したお金でパンの見た目や匂いなどの能力をアップグレードさせます。直接販売に影響がある能力は「かず」。1日に製造できるパンの数で、その日にお客が沢山いてもパンの数が足りないとその日は終了します。その他はたまにお客がお願いする「ごようぼう」に必要。パンの能力が要求を満たすと(例えば見た目30など)イベントが進展。基本的にストーリーはこの「ごようぼう」を達成させていくことで進みます。
ポストアポカリプスベーカリー_開始1 ポストアポカリプスベーカリー_開始2 ポストアポカリプスベーカリー_開始3
▲右下にお客さんが並んでいます。手前のパンをドラッグでカウンターまで運ぶとイベントが発生したり、お客さんが帰宅して次のお客が入ります。

ポストアポカリプスベーカリー_要望
▲ごようぼうフラグが立っていると、訪れた時にイベント後、画像のようなストーリー仕立てのごようぼうが届きます。

ポストアポカリプスベーカリー_日終了1 ポストアポカリプスベーカリー_日終了2
▲そして全員捌くと、その日の結果が表示されてメニュー画面に戻ります。

お客はシナリオが進むと増加するのでお金の使い道は、常にパン数 > 客数を維持して、他はごようぼうに必要な能力上げて、ごようぼうが無い時は各能力が平均的に上がるように割り振っていきます。
ポストアポカリプスベーカリー_アップグレード1 ポストアポカリプスベーカリー_アップグレード2
▲ごようぼうのため、そして数を捌くためパンもグレードアップさせていきます。

1日開店するとスタミナ(作中ではパンの原料となる暗黒物質(ダークマター))が1減少。最大3(課金360円で10まで上昇可能)あり、1時間に1回復(480円課金で30分に1回復)します。

基本ルールはこれだけです。ぶっちゃけると、毎日何枚か無料配布されて、早く読みたかったら課金して購入するしおりで進めていくノベルゲームの変化球です。とは言え1時間に1たまるし広告による回復もあるので純粋なそれらのゲームよりも物語は早く進みます。

基本システムよりも注目したいのは物語の形態。本作は毎日パン屋さんに1人1人お客が訪れてマスコット兼売り子のロボット「ホーム君」と喋るゲームです。フラグ条件(前のメインイベントクリア)を満たしたキャラは「ごようぼう」が発生。このごようぼう発生時とクリア条件を満たしてクリアした時にメインイベントが進みます。1つのイベントをクリアすると多数キャラのごようぼうが解禁される時は1日に何回もごようぼうが発生し、逆に終盤は全部のお客の中から1度のみごようぼうが発生することも。

つまり様々なキャラの「ごようぼう」からゲームが成り立っています。そのため、パン屋室内以外の様子が一切わかりません。各エピソードのエンディングのみパン屋を外から映した映像が流れますが、唯一の例外です。様々なお客さんが身の上話や悩みを打ち明けますが、各人の話を集めるうちにだんだんと外の世界がどうなっているか判明していく仕様です。つまり私達が知る外の世界は全て伝聞形式です。RPGは町のモブ達から話を聞いて世界観を積み上げていきますが、それらと同じように様々な人の意見を聞いて一つの世界が見えてきます。
ポストアポカリプスベーカリー_UI1 ポストアポカリプスベーカリー_UI2
▲その他、常連さんのステータスや過去のごようぼう回想(イベントも含めて)、フィギア(ある人物のごようぼう全てクリアなど特定の条件で入手)コレクションなどなどのシステムもあります。

物理法則無視なSF設定が癖になってくる、そしてホームドラマも見逃せない!

さて、システムそのものはオーソドックスですが、とにかく面白いのは世界観とキャラ。パン屋のマスコットでありお客への対応から貴方への一言まで存在感が一番強い「ホームくん」。ロボットだけど常にテンションマックス。数々の名言を生み出しプレイヤーである私もこのテンションはゲームプレイ中以外でも頭の中で生きるぐらいに影響を受けています。
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▲常にハイテンションなホーム君。ゲームを面白くし、お客との会話ではボケもツッコミもこなし、そしてお客の望みを叶えようとする良キャラ。本作が魅力的な理由の1つは間違いなく彼です。

さらに、世界観がぶっ壊れるぐらいの物理法則無視なSF設定をこれでもかと盛り込んでいます。ダークマターで無からパンを作り出す設定そのものがおかしいですし、ホーム君の名言「世の中のだいたいのことはパンで解決できる」の如く、不治の病に侵されていても、フラれて落ち込んでいても、化け物から人間に戻りたくなっても、ポンコツで故障しそうになっていても何故かパンを食べるだけで何でも解決してしまいます。何この不思議設定。

現れるお客さんは常に悪と戦っているサイボーグに何故か脳みそだけで生きている人間、見るからに化け物だけどテンションが高い冒険者、超能力を使うなんでもありの凄腕女性。科学要素はおろか、物語としても破綻しないのか不思議なくらいに変な設定のキャラや外部の状態が目白押しです。
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▲まともな外見をした生物の方が希少。そしてまともな外見をしていても変な能力者ばかり。だけど皆人間味のあるいい奴らばかりです。

つまりネタを全面的に出して物理法則や設定矛盾なんか気にすることないとばかりに破綻寸前の変な設定をごり押ししているゲームです。最初は大丈夫なの?と思うのですが、プレイする内に正直、どうでもよくなってきます。むしろ、とんでも設定が個性豊かな外見と性格をした面々のやり取りをより面白くしています。

そして、だんだん話が分かってくると設定が破天荒ながら、それでも一定の整合性が取れていることに気づきます。中には序盤から伏線を仕込むような余裕もあり、だんだんとこのハチャメチャな世界の設定が気になってきます。

そして、この破綻前提でネタのために作っていると思われるお客さん達ですが、よくよく読み進めていくとちゃんと物語として成り立っています。また、単体エピソードだけでなく、常連さんが同時に来店することも。常連さんどおしで一目惚れしたり、実は加害者と復讐者の関係であったり、そして新たに師匠と弟子の関係になったり。パン屋で新たな出会いが誕生することもあれば、過去の因縁がパン屋で解決することもあります。全キャラにそれぞれがハッピーになる結末を用意しています。
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▲それぞれのキャラのバックボーンや性格を反映したやり取り。そしてホーム君も絡んで笑いあり、感動ありのエピソード群です。

ポストアポカリプスベーカリー_せんたく
▲時には1拓でホーム君の味方になるように強制選択させられることも

はちゃめちゃなキャラばかりですが、各キャラのエピソードは実に人間味あふれるエピソードばかりです。例えばサイボーグ君のエピソードを紹介しましょう。彼は常に正義のため戦場で戦っています。序盤の依頼はそんな彼の荒んだ心を和らげるエピソードとなります。戦場で消耗してガラクタになりそうになるエピソードも(パンでだいたいの厄介ごとが解決する世界観なので解決法も……)。そんな彼ですが、常連のとある客と一緒に来店した時、一目惚れ。しかし従来の小心さが表に出て告白ができません。以後、サイボーグと彼女とは恋愛の攻防が始まります。また、彼女は彼女で同じく来店した女性?と意気投合してガールズトークを繰り広げたりして登場人物の関係性はどんどん広がります。

このようなエピソードをシリーズ分けしてアップデートという形で今後も増えていく予定です。簡単に現在まで配信されているシリーズを紹介。

さいしょのひとびと
この世界を伝える役割があるのか、とにかく雑種という印象。サイボーグや超能力者など上記で紹介したはちゃめちゃなキャラ達は全て彼ら。また、最後までプレイすることで、この世界が荒廃した理由が判明します。一部のキャラ以外は初対面で、パン屋でたまたま同時来店し意気投合する組み合わせが非常に多いことが特徴。

第385地下シェルターのひとびと
地下都市に暮らしていたある集団たちがパン屋に訪れるようになります。その集団は汚染された外から避難する目的で隔離されていた集団ですが、外の世界に適応できてびっくり。今回は全員顔見知りであることが特徴で、二人ペアの時は身内話が多くなります。相変わらずとんでも設定が多い上、コメディのレベルも上がっていて面白いエピソード。

常連たち その1
「さいしょのひとびと」と「第385地下シェルターのひとびと」のキャラ達のペアで訪れるストーリー集。新たなカップル、新たな意気投合者などなど。気になっていたあの人のその後が語られます。基本的にファン要素が強く、シナリオは進みません。

植物人間のゆううつ
神様のおきてで「食べ物を食べない(光合成ができるため)」「恋愛をしない」「趣味を持たない」生き方をしてきた植物人間の集団。ところが未知のパン屋にはまってしまい……。おきてを守るか破るか、植物人間達の葛藤と対立の日々がはじまります。

宇宙のともだち
今までも人間辞めてる形でしたが、それでもあくまでその星上の生物でした。ところが、ここで宇宙人が到来。今回は第一シリーズと同様に雑多な方々が来店して出会って物語が進みます。

「世の中のだいたいの問題はおいしいパンで解決できる」をテーマに今後も物語や機能の追加アップデートがはかられていく予定の本作。見た目以上に熱く感動的で、そしてはちゃめちゃに見えて実は一定の整合性があるSF設定、これほど個性的なアプリもそうそう存在しません。気になったら一度試してみてください。

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