私の場合、3000文字程度のレビューを書くのに4~7時間はかけている。特に私の場合は語尾力や表の文章力が低いため、文章プロットを詰めないと陳腐なレビューになってしまう。逆に私の持ち味はこの、文章プロット手法だと思っている。
真似されて困るものでも無いし、その手法を公開する。あくまで、私の手法であり、レビュワーによって書き方は様々だ。参考にするも反面教師にするも自由だが、少しでもゲームレビューを書く方の参考になれば幸いだ。なお、レビューの書き方であるため、「文章は簡潔に」等ネットでの文章の書き方は割愛する。
なお、私のレビューは、作品を知らない読者に作品を教えることを目的としたレビューだ。、例えばネタバレ全開レビューなどはまた違った観点になるはず。この点に注意の上で読んでほしい。
あらすじ・システム仕様の羅列では無く、体験した感想が知りたい
私のレビューは、ゲーム体験を伝えることを第一目的としている。
その上で、あらすじ、キャラの紹介、システムの説明を羅列するほど詰まらない感想は無い……と個人的には思っている。もちろんゲームを紹介する上では必須事項だ。ただし、羅列をするだけでは唯の商品説明になる。購入する上での参考にはなるが、おそらくゲームの公式ページに書いてあることが多少詳しくなる程度だろう。
レビューを読むことで知りたいのは、「そのあらすじやシステムは面白かったか?」だ。そもそもキャラの紹介やシステムについては、公式サイトに正確な記事が用意されていることがほとんどだ。その意味では羅列では無く、そのシステムを使うことで何が新鮮だったか、そのキャラの性格がどう物語を盛り上げたか、そのあらすじはどう面白かったか。これが知りたい。
もちろん、公式サイトを見る前に感想サイトを見る読者が大半だろう。そのため、私もあらすじやシステムの基本はもちろん書く。ただし、あらすじ・仕様説明は端的に簡潔に書く。詳しくは書かない。仕様説明がどうしても長くなる場合は、飽きないように、感想などを交えて工夫を入れる。
全てのシステムを紹介する必要は無い。プレイした上で重要と思った事柄のみにする。具体的には、そのゲームをプレイする上で大きな長所・短所と感じた部分のみで良い。その他の細々なシステムを紹介するのは、冗長になる。その分の文字数は貴方の感想に当てる方が読み応えある記事になるだろう。極論を言えば感想を書くための補助的な解説以外はバッサリと切っても問題ないだろう。
キャラの名称・システム名・ゲーム内用語は極力省く。ゲームの内容を伝える上では全く必要の無い知識だ。キャラの固有名は、せいぜい主人公とヒロインぐらいだ。3名以上になると読者は覚えれないし、覚えてもらう必要性もない。その他にキャラ説明が必要な場合は、ラスボス、無口系少女、お笑いキャラのように、そのキャラの特性に合わせた名称を勝手に付けた方が有意義だ。
基本的にあらすじやシステムと感想はセットだ。例を示そう。あらすじから自然と分析に移っていることに着目して欲しい。
テーマを絞って書く
上項の全てのシステムを紹介しないことにも繋がるが、伝えたいことは絞る必要がある。沢山のことを伝えると長文になり、まとまりも無く読んでもらえなくなる。テーマを絞って伝えた方がよい。
この点で何を長所にするかだが、基本的にはあなたがそのゲームをプレイする動機になった事をベースに据えて選択していくと、書きやすくなる。その上でゲームのテーマも拾っていく。
RPGを一例に取ると、私がRPGをプレイする目的はインタラクティブなシナリオを読むためだ。どうシナリオを面白くしているかがテーマになる。そのため、モブのセリフの作り方やドラマ関係の表現方法、システムとシナリオの関連などシナリオと結びつく点が長所になる。そのあたり面白成分を分析して記事にする。物語がどう面白かったか、どんなシナリオ執筆技術を使っているか、世界設定と伏線はどうかなども書く。
反対に戦闘はあまり興味が無い。そのため、簡潔に戦闘の紹介を1,2行で済ませ、戦闘そのもののレビューを省くことがある。こうして私オリジナルのレビューが出来上がる。私と同じく物語重視でRPGを遊ぶ方達の参考にもなる。
また、この観点で述べれば、エンカウント率が高いことや成長速度の遅さ、ダンジョンのプレイ時間は明確な欠点になる。その場合はエンカウント率が高いなどをしっかり書く。ただし、もしこの条件だとしても、ハクスラ系RPG好きにとっては明確な長所となる。そのため、淡々と仕様を書けば私と同じシナリオ目的の読者は短所の材料にするし、ハクスラ系目的の読者は長所の材料にする。
戦闘重視でレビューする場合は、逆に物語関係は淡々と書き、戦闘システムの面白さを語るとよい。
ネタバレは許容する。ただし核心に迫るネタバレは許容しない
ネタバレ無しで読者の興味を惹く感想は書けない。そもそもゲームの面白さを伝えるのがレビューの目的の一つだ。ネタバレを無くしてしまっては本当の面白さは抽象的にしか伝えることができない。よって、私はネタバレに関しては、ある程度しても良いと思っている。
程度はレビュワーによって様々だと思うが、私はゲームの魅力をより良く伝える事ができるのであれば中盤ぐらいまでのネタバレはする。2時間の映画なら1時間30分ほどの内容は語る場合がある。核心的に面白い箇所や終盤については控えているが、それでもネタバレに配慮しつつ、どのように面白かったかはなるべく伝えるようにしている。
ただし、あくまでネタバレの目的はゲームの面白さを伝えるためだ。それがあらすじの羅列になってはいけない。あらすじの羅列は著作権違反(翻案権)にもなる。ネタバレは最小限にしつつ、そこの何が面白かったかを語ることを基本にしたい。
短所の書き方
短所を書くのは非常に難しい。ただ、それでも駄目なところは駄目と書いた方が良い。
例えば10点満点を基本として、2点の短所と8点の長所があるとする。その長所短所を同分量の文字数で紹介すると、間違い無くネガティブな記事になる。欠点ほど、強く見えてしまうからだ。私の経験則から、この場合の割合は2点の文章量を3割、8点の文章量を7割ぐらいでよい。
そのため、駄目なところは、簡潔にスパっと書くように意識する。また、レビュワーが駄目でも、読者には長所になる仕様もあるため、暴言はしないこと。私の場合、同じ感性の方には伝わるよう短所は仕様を淡々と述べることが多い。よっぽど酷いと感じる場合はそれなりの文章量も確保するが、やはり長所よりは少なくするように意識している。
完全な誰から見ても短所の場合は次のようにする。
RPGの戦闘時に、「たたかう」で5秒かかるとする。これを長所と考える方は少ないだろう。明確な短所だ。この場合は開発者がどうしてこの仕様にしたかを分析する。分析した結果、製作期間が短くて対処できない、そもそも製作者は気づいていないだけならズバっと、欠点を言えばよい。速度低下は駄目等の文句を言ってもよい。
「モーションをしっかり見て欲しいから」なら完全に製作者目線だ。ユーザー目線でないと文句を言ってよいだろう。
しかし、実はリアルタイム戦闘で、モーション5秒がないと忙しくなる仕様ならば、やむを得ず短所にするしかなかった欠点とも言える。その指摘はしておいた方がよい。この場合はこう書く。
最初に欠点を書き、その後に欠点の理由や欠点以上の長所を書く。するとある程度短所の表現を緩和した上で読者に明確な短所を告げることができる。
なお、欠点を書く場合、「開発者に伝えるために」と考える方もいるかもしれないが、明確な欠点はたいてい開発者も理解している。開発者向けの細かな改善策は必要ない(当然、細かな欠点を延々と書く必要も無い)。必要ならレビューに書かず、公式サイトのお問合せ等に送る。ただし、読者向けに「こうであればより面白くなる」とアイデアを出すのは、特にプレイ者が読んでいて面白い部分のため、積極的に書く。
ただ、それでも短所を延々と書かないといけないような、私好みでないゲームは長文のレビューを書かないようにしている(精神的にもきついし)。そのため、本当の短所の書き方は実はあまり経験が無いため、基本的に上記は好意的なゲームの感想を書く場合の短所の書き方と認識しておいてほしい。
その他、レビュー初心者でよく見かける失敗例は短所に文章量を割き、最後に「それでも、このゲームは面白く80点の実力はあると思います。」というようなレビューだ。短所ばかりであり、何で80点になるのか分からない。好意的に他の読者に購入して欲しくて書いたレビューであることは分かるが、購入にはマイナス判断になる。その傾向があると感じたら、短所を1つにつき、長所を3つ書くことを意識した方がいいかもしれない。