【アニメーションノベルADV】マヨナカ・ガラン レビュー

マヨナカ・ガラン
マヨナカ・ガラン[CAVYHOUSE](リンク先はDLSITE。体験版あり)
価格:PC:1,080円(DLSITE) SWITCH,PS4 1,200円 steam,ps4版は後日VRモードを搭載予定。

当レビューはPC版をプレイして行っています。

楽しい村人との交流と物悲しい田舎風習伝奇系シナリオの組み合わせ

マヨナカ・ガランはフル3Dとフルボイス、そしてアニメーションで表現されたノベルアドベンチャーです。選択肢も無いので映像作品とも言えます。プロモーションビデオや紹介文からは、映像美が全面的に押し出されて印象的なゲームですが、シナリオ執筆力も非常に高い作品です。
マヨナカ・ガラン_オープニング マヨナカ・ガラン_ハモルル2

大正時代、主人公である牧師のはもるるは、村にいる神父や村長の息子から依頼を受け、の歴史や民話の収集を、過去に迫害されたキリシタンたちが作った閉鎖的な村「大臼村」に招待されます。プレイヤーははもるるの案内役となり村の様々な場所に彼女を誘導します。調査をするために村を廻ると村人も素朴で友好的、一人で遊んでいる少年、食べ物を分けてくれるおじちゃん、村のことを教えてくれる読書好きの女性などなど様々な方達と仲良くなります。村長の息子や神父からは、新たに村おこしのコンサルタントも依頼、村に新しい風を流しつつ、彼らと密接に関わることになります。
マヨナカ・ガラン_村1 マヨナカ・ガラン_村2
▲素朴な人々。

大臼村は外部から隠れて閉鎖的に時代が過ぎた村のため、村人はキリスト教徒ですが、正統キリスト教の教えとは大きく異なります。何よりも大きな特徴は、百数年に一度だけ村に訪れると言われる聖人様を慕う信仰を持っていること。

数日は慎ましく暮らす村人達と平穏に交流しますが、はもるはとあることをきっかけに不可思議な現象に遭遇します。そして村人達は誰一人それを異常だととらえていません。時を同じくして、百数年ぶりに本物の聖人が現れてさらに不可思議な現象がおきます。村人達は祝福していますが、はもるるは違和感を感じます。
マヨナカ・ガラン_村後半1 マヨナカ・ガラン_村後半2
▲特定の条件が揃うと村人達の様子がおかしくなります。

あらすじからも想像がつく通りマヨナカ・ガランのプロットは田舎風習伝奇系のホラーです。ただし、ホラー要素は極力省いておりホラー系の恐怖は全くありません。村人の考え方や未知の存在に恐怖を抱くことはありますが、あくまでサスペンス・ミステリー系の恐怖でありホラー系ではありません。そして、民俗学と風習を組み合わせた伝奇的な考察の面白さやある悲劇、外来である私達から見た村の不幸などホラー特有の物悲しい物語が展開していきます。敢えて言えばゴシックホラーに近いかと。また、クトゥルフ的なコズミックホラーもあるかと(注:本作にクトゥルフ要素は一切ありませんが、村人や聖人はそれに近い行動様式を示しています)。また、閉鎖村なのでそこまで大胆な使い方はしていませんが、大正を舞台にしていることもあり近代化、遊園地など発展しつつある日本の文化が話題になることも。

本作は4章構成で各章で二転三転とどんどん話が変化していきます。伏線は会話の中だけでなく、主人公や村人の行動にも含まれており、AとBがCの伏線、CとDがEの伏線みたいなこともあれば、過去話で出てきたAに該当する人物が実はB,Cだったというものや、民話の発端と村人の話のまとめ方など、とにかく驚くことの連続です。その内容に妥当性や説得性もあり、プロのミステリー作家がプロットや文章を書いたと言ってもよいほど物語の品質は高め。
マヨナカ・ガラン_考察1 マヨナカ・ガラン_考察2 マヨナカ・ガラン_考察3 マヨナカ・ガラン_考察4
▲少しづつ情報を集めることで見えてくる村の真実。

そして、世界観や伏線だけでなく登場人物も生き生きとしており、魅力に溢れています。例えばはもるるは食事が好きという設定があるのですが、食べ物があると食べながら返事をしたり喋ったりします。そしてどんどん減るお皿の上の食べ物……。ここで「食事が好きだ」等のセリフは一切無く行動で示しています。また、子供と話す時は上から目線では無く、座って対等の目線でおしゃべりします。
マヨナカ・ガラン_性格1 マヨナカ・ガラン_性格2 マヨナカ・ガラン_性格3
▲言葉にしなくても人柄の良さが伝わってきます。

その他、村人達も歌劇オペラを陽気に歌う人達、元気に遊ぶ子供、何故か毒きのこが上手いとパクパク食べるおじさんなど個性がしっかりしています。後述する顔や恰好が見えない描写表現のモブキャラ達ですが、単純にモブキャラと言うと語弊があるほど魅力に溢れています。そして、少しネタバレすると魅力があればあるほど物悲しい話にもなります。

そしてメインキャラで言えば神父と村長の息子。あくまで彼らは村の中で育ち、村に対してとある信念や思想を持っています。非力ながらその一環した信念を貫こうとしたり、それが正しいか悩む彼らのカッコ良さもだんだんと見えてきます。
マヨナカ・ガラン_村長の息子と神父1 マヨナカ・ガラン_村長の息子と神父2 マヨナカ・ガラン_村長の息子と神父3 マヨナカ・ガラン_村長の息子と神父4
▲神父と村長の息子。初めは何か独自の目的で動いている怪しい人物ですが……。はもるるは傍観者に近いキャラなので、ある意味彼らが主人公と言っても差し支えないほど大事な役割を持っています。

マヨナカ・ガラン_お嬢様1 マヨナカ・ガラン_お嬢様2 マヨナカ・ガラン_お嬢様3 マヨナカ・ガラン_お嬢様4
▲村人から「お嬢様」と呼ばれている外部から来た女の子。言いたいことははっきり言う芯の強い子。序盤は脇役ですが、後半はあることを見分けるための目を担う重要キャラ。

マヨナカ・ガラン_聖人1 マヨナカ・ガラン_聖人2
▲中盤から現れる謎の少女。村人達は一目で聖人様と見抜き拝んでいます。そして数々の軌跡。だけど、そこはかとなく見える不気味さも。

幾何学的な映像美の世界

物語の流れとしては、村全景マップがあり、訪れる場所が選択肢として現れます。それぞれを全て訪れるとアニメーションイベントパートが始まる物語が進みます。そして新たに訪れる場所が増えるという作り。アニメーションパートは5分~10分ほどの大作もあれば1分ほどの短いパートもあります。
マヨナカ・ガラン_町全景1 マヨナカ・ガラン_町全景2 マヨナカ・ガラン_町全景3 マヨナカ・ガラン_町全景4
▲行きたい場所を指定すると、その箇所が拡大。また、statusを押下するとその時のはもるるや村人の様子が分かります。4枚目のような不気味な文字が現れることも。

さて、マヨナカ・ガランはノベル部分がフル3Dでセリフに合わせて常にアニメーションしています。単なるループアニメーションではありません。場面1つ1つに合わせて、それぞれのキャラが適切に動くようにチューニングしており、手抜きに見えるような表現がありません。上記した子供と話す時は座るような細かな表現が山ほど仕込まれており、、3D作品である長所を存分に活かしています。いわゆるビジュアルノベルゲームから一歩抜き出ており、まるでアニメ作品を見ているような感じがします。そして各章終わりに挿入されるレトロテレビの回想、重要な場面で流れる歌とアニメーションなど驚きと共に常にプレイできます。
マヨナカ・ガラン_TV
▲画面内の内容が次々と切り替わります。

加えて主要人物以外のキャラ、そして背景がステンドガラスや幾何学的にデフォルメされた独特のアート手法で描かれています。これも単なる静止画では無く、キャラが動いた場合、キャラ内の模様も動くようなギミックを施しており、目を奪われます。そのため、モブ村人は誰が誰だか外見からは分からないのですが、個性付けがしっかりしているため、問題はありません。まるで絵本のような繊細さとどこはかとなく感じる不気味さが混ざっており統一された世界観を作り上げています。
マヨナカ・ガラン_アート1 マヨナカ・ガラン_アート2 マヨナカ・ガラン_アート3 マヨナカ・ガラン_アート4
▲独特の美しさがあります。

プレイ時間は3時間ほど。シナリオも映像も優れた作品で、それでいながら低価格を維持しており、この種の小説やアニメがお好きでしたらお勧めしたいタイトルです。雰囲気は怖くないパターンの「世にも奇妙な物語」かな。物悲しくハッピーとは言えませんが、何らか心に残る良い終わり方でした。なお、私は機器を所持していないので体験していませんが、VRにも対応しています。

ダウンロードはこちら
DLSITE:マヨナカ・ガラン

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