【探索ADV】バーチャルハッカー レビュー

バーチャルハッカー
バーチャルハッカー[あとらそふと]
価格:1,200円(税抜)

ウィザードリィ系からマップだけを抜き出したような迷宮探索&リソース管理ゲーム

初代バイオハザード(1~3、ベロニカ)でゾンビとの戦闘・逃走を無視して鍵の入手や手紙の散策、脱出経路の確保のみに特化したゲームをプレイしたいと考えたことはないでしょうか。またはツクール製の館脱出ゲームを歩行キャラを操作する事なく鍵探しの謎解きだけに特化、アクション要素を排除して謎解きと探索だけを行うメトロイドヴァニアなど。

本作「バーチャルハッカー」はVR上の小学校からバグ(敵キャラ)を倒しつつ、脱出経路を探す学校脱出AVGゲームです。その本質はウィザードリィ系ダンジョンRPGから疑似3Dダンジョンを省き2Dマップのみにフォーカスを当てた迷路探索です。加えて限られた資源を使ってバグと戦うリソース管理・成長パズル要素もミックスしたRPGです。

さて、まずはストーリー。「楽園追放」を彷彿させる、全人類の意識と記憶をバーチャル空間へ転送するサービスが始まった時代、「コウザキ」は2000年代初頭のある意識をバーチャル空間内に召喚。この召喚されたキャラが貴方となります。アバターが何種かありますので、好きなキャラを選択可能。主人公はコウザキと通信で会話をしつつ、バグ発生原因を探したり、VR空間上に登場する謎の少女を追ったりして真相を探っていきます。
ヴァーチャルハッカー_キャラ選択
▲この中から好きなアバターを選択します。

初めに述べておくと、シナリオ関連を期待して購入することは避けた方が良いゲームです。迷路探索が主なゲームであり、シナリオはその補強的な位置づけに置かれているからです。メインシナリオの会話は最小限で終わらせ、世界観に関してはUI構成や敵キャラの世界観を統一し、用語集や重要アイテムの解説などで情報を小出しにして、プレイヤーが頭で想像できる程度の要素を用意しているくらいです。ジャンル的には一応SF科学とホラーミステリーの中間あたりの内容。
ヴァーチャルハッカー_話1 ヴァーチャルハッカー_話2 ヴァーチャルハッカー_話3
▲直接な描写そのものは薄いのですが、UIなどを使った世界観を伝える描写は全般的に感じます。

ヴァーチャルハッカー_少女
▲学校内で謎の少女が登場し、彼女の謎を追うことでバグ発生の秘密などを探っていきます。

ヴァーチャルハッカー_通信
▲通信コマンドにより、共に捜索しているハッカーと会話することも。

ただし、迷路探索・リソース管理として考えると、驚くほど熱中してしまいました。そして、物語も迷路探索のスパイスとしては十分に成り立ち、先が気になるような作りでした。

迷路としては、画面右側にマップが表示されます。このマップはウィザードリィ系やメトロイドヴァニア系のように進行した場所をオートマッピングで記録していきます。通れない扉は赤で表示、取り逃した取得物は青で表示されます。この地図とは別に中央付近は主人公がいる位置と周囲9マスのみを表示しています。地図からは分かりませんが、中央マップでは敵の位置も分かるようになっています。背景はその場所に関連する背景画像を使用しています。例えば廊下、職員室、教室などなど。
ヴァーチャルハッカー_マップ1 ヴァーチャルハッカー_マップ2
▲異なるエリア(教室から廊下など)に移動するとマップの背景は適宜切り替わります。

また、ウィザードリィ系マップなんですが、壁の囲い方や扉の場所を工夫することにより、洗練された配置のマップになっています。マップの配置も教室がある場所だと、連続して教室フロアが並び、各階には同じ場所に男女トイレがあります。職員室の横に校長室があり、図書室や美術室は教室から離れて配置されています。あくまで電子上ですが、本当に学校を探索しているような気になってしまうようなフロア構成には唸らされました。

消費アイテムの減少とレベル上げのジレンマが常に付きまとうパズル性のある戦闘可否選択

マップ上は様々なバグ(エンカウント敵キャラ)がおり、アイテムが落ちています。アイテムは消費武器、回復(ステータス上昇)アイテム、そしてデータ(経験値)。データはバグを倒した時も入手します。データを使用することでHPを全回復した上でステータスを上昇するアイテムを入手できます。いわゆるRPGで言う経験値やレベルに該当。
ヴァーチャルハッカー_データ変換
▲データを使って主人公の能力を上げる各種キューブを入手。入手するたびに必要なデータ量が増加していきます。

主人公はステータスとしてSP(HP)、工撃(攻撃)、妨御(防御)、解析(魔法力)があります。バグは学校上にいそうな何かをホラー風味にしたキャラとして描かれています。バグと接触すると戦闘開始。倒すとデータ(経験値みたいなもの)を入手し、永遠に消滅します。また、敵の攻撃は特殊系が一切無く通常攻撃のみです。そのため、与被ダメージの計算が容易であることも特徴です。
ヴァーチャルハッカー_バグ1 ヴァーチャルハッカー_バグ2

さて、ここで本作を面白くしている一番のポイントを挙げると、バグとアイテムは固定配置のため、総数が決まっていること。そして、妨御力を下げる解析アイテムを使用するまで1しかダメージを与えられない敵など明らかにバグの半分は消費武器使用を前提に作られている敵が半数以上いること。

ターン製ですが、アイテム使用でターンは使用しません。また消費アイテムは、「前ターンに受けたダメージを70%回復」、「敵の妨御力を大幅に減少」「主人公の工撃力を3ターン上昇」などなどですが、1ターンが死を分ける場合がある戦闘なので重要性は想像が付くかと思います。また、戦闘中にSPが0になるとSPが満タンになって最後にセーブした場所に戻りますが、ステータスアップや倒した敵などは全て保持しています。その上で、SP満タンでも消費アイテムを使用しないと倒せないバランスになっています。
ヴァーチャルハッカー_アイテム
▲消費アイテムの一つ、「クラック」。この敵はクラックを使用しないとまともなダメージが入りません。

つまり、限られた消費アイテムをどんどん使用してバグをなぎ倒していくか、それとも消費アイテムを温存しつつレベル上げさえすれば倒せそうな敵を後回しにするか、はたまた敵はなるべく無視するかなどを常に考えてプレイすることになります。ただし、敵を倒さないとデータの入手量も限られるため、主人公が成長できません。そして消費アイテムが必要な敵に限ってドロップデータ量が多い場合も。進行の妨げとなる通路に配置されていたり、宝と一緒に配置されている場合も。常にその敵を倒すかどうかの選択に迫られます(それが楽しい)。

また、Ver2を名乗り、同じグラフィックなのに大幅強化されている敵キャラもいます。この場合は消費アイテムを使用してもその時点では勝てない強敵も。その系統の敵キャラは「武器や消費武器のレベルを上げてくれるアイテム」、「大量のドロップアイテムがある施設への鍵」、「大量のデータ(経験値)」と一緒に配置されており、序盤では消費アイテムを使用してさえ手も足も出ない敵が多めで後半にチャレンジすることになります。

さらに、物語の進行に合わせて数回だけ敵・アイテムの配置が強制リセットされるイベントがあります。強制リセットしても入手したデータや消費アイテムはそのまま。しかし、序盤や中盤の段階では強敵や、消費アイテムが大量に必要な敵もおり、データを永遠に諦めるか、それとも消費アイテムの個数を減らすかの選択はこのリセット時も考えることになります。

常にリソース管理との戦い。ここから先の通路は強敵がいるから後回し……、この敵キャラは消費アイテムの減少が激しいので無視……、まず先にこの場所で敵を倒すとデータが溜まって工撃力があるから前のあの敵は一撃で倒せるようになる……などなどを考えながらVR学校内をあちこち捜索することになります。また、工撃力上昇アイテムなどは回復の効果があるため、「敵との戦闘中に使えば消費アイテムを失わない」などのみみっちい戦略を取ったことも。

これに加えてシナリオと連動したギミックの面白さも。序盤はシナリオ上で進行制限をすることでシステムに慣れるよう配慮しています。また、ある場所で取得したアイテムを別の場所で使用すると一気に通路が通れるようになるなどのギミックもいくつか用意。もちろんボスキャラや特殊なイベントもあります。特にラストはそれまでのリソース管理が嘘のように、バシバシ消費アイテムを使用して素早く敵を倒すような爽快感を伴う大イベントが用意されています。
ヴァーチャルハッカー_イベント1 ヴァーチャルハッカー_イベント2
▲上記でシナリオ目的の方は購入を控えた方が良いとは書きましたが、逆に迷路探索を楽しむ上では、ほど良いスパイスとなるイベントが挿入されます。

ゲームシステムとしてはRPGやADVとなりますが、ゲームの本質は管理パズルとなるでしょう。ジャンル柄、人を選びそうなゲームですが、いざ面白さに気づくと中毒性があるゲームに仕上がっています。

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