【ファミコンウォーズ系戦略SLG】Wargroove レビュー

Wargroove_タイトル
Wargroove[Chucklefish]

対象:PC

本作はシナリオの形態をファイアーエムブレム風戦乱ファンタジーにした上で、ファミコンウォーズのシステムをリスペクトした挑戦作です。イギリス、ロンドンを拠点に置くChucklefishが開発。

ファミコンウォーズを多少アレンジしつつも、シンプルな機能と軽快な動作、各種アニメーションの良さとファンタジー系SRPGらしさのある音楽など基礎の部分が堅実に作られています。その上でメインシナリオ、キャラシナリオ、パズルモードなどのシングルモード、そしてローカル、ネットでの対戦モードもあり、さらにはユーザーがシナリオを作れる機能まで。飽きるまで延々と遊べれる豊富なコンテンツ量。

任天堂がファミコンウォーズの新作を出すまでの繋ぎとして、存分に遊べるゲームかと思います。
Wargroove_マップ1 Wargroove_マップ2

ファミコンウォーズのリスペクトに留まらない堅実な動作設計

本編は魔族が住む帝国の幹部に父王を殺されたチェリーストーン国の王女マーシアが国を脱出、帝国から逃亡しつつ打倒するために様々な国を巡っていく物語が展開します。まず、あらかじめ述べておくとファイアーエムブレム系から影響を受けていることが分かるものの、単純化されておりシナリオに厚みがありません。キャラの魅力もあまり引き出すことに成功しているとは言えず。そのため、シナリオ目的でSRPGを楽しむプレイヤーへの購入は推奨しません。
Wargroove_物語1 Wargroove_物語2 Wargroove_物語3 Wargroove_物語4
▲シナリオパートもキャラがよく動き、グラフィックの雰囲気は良いです。
Wargroove_フィールド
▲フィールドから各戦略ステージに移動。

ほとんどファミコンウォーズと同じですが、一部異なる点もあるのでまずルール確認。

本作のユニットは通常と司令官の2種類。主人公マーシアを含め、固有人物は司令官ユニットとなり味方司令官ユニットが死亡するとゲームオーバー、敵司令官を倒すとクリア。通常ユニットより強力な上、ターン毎や敵攻撃時に溜まるゲージで強力なスキルを使用可能(敵も同様)。

剣士は騎士に弱く、騎士は矛兵に弱く、矛兵は剣士に弱い3すくみ構造。ハーピーなどの飛行隊はこれら3ユニットには一方的に攻撃でき一切反撃も受けないが、弓兵や投石隊などの遠距離攻撃には弱いなどユニットによって特色があります。HPはイコール兵力であり、HPが減ると敵・味方ユニット共に攻撃力も減少します。その他、ユニットを運んで遠距離まで移動できる馬車や視界が悪いステージで遠方まで視界を見渡せる戦闘犬などユニットの種類が比較的あります。ストーリーモードではこれらユニットを少しずつ紹介していくため、悩むことなく特性は覚えれると思います。
Wargroove_馬車
▲馬車は1ターンの移動範囲がびっくりするほど大きいので、足の遅い兵士を戦場まで一気に運ぶことができます。

本作は命中率などの運要素は省かれています。ダメージ数は計算からしますが固定です。各ユニット毎にクリティカルが発生する条件が設定されており、満たすことで確実にクリティカルが発生。
Wargroove_確率
▲与えるダメージ、受けるダメージは予め攻撃前から分かります。

ファミコンウォーズ系の特徴は敵・味方共に各種構造物を占拠できること。構造物の種類は主に2つで1つは占拠した数に応じて毎ターン資金を貰えること。もう1つは新兵補充用の構造物を占拠した後は各1ターンに1度、資金を払って新兵を召喚できること。つまり、なるべく多くの構造物を占拠して資金を増やしつつ、どんどん召喚して味方ユニットを増やすことが基本戦略となります。この条件は敵も同様で、稼いだ資金を使って毎ターン新兵を補充します。そのため、敵の占拠した構造物を奪うことで新兵の召喚数を減らしていきます。
Wargroove_補充拠点
▲各施設ごとに毎ターン1ユニットを召喚。施設が増えると各施設ごとにユニットを召喚できるようになります。
Wargroove_施設1 Wargroove_施設2
▲敵の金策を減らして自分の金策を減らす施設攻撃も重要。

徐々に敵構造物が減ることにより敵が弱体化していく爽快感はファミコンウォーズ独特のものです。その他、アルケミストの回復魔法や他、ユニットの一部特殊スキルに資金が必要。

本作の場合は、このルールを軽快に動く戦略マップで運用しています。戦闘シーンはファンタジー戦争らしさがあるドットアニメーションでとても滑らか、そして飽きたら戦闘シーンカットのオプションを付ければ高速戦闘も可能。戦闘前後の紙芝居ノベルパートもドットアニメーションによる動きとテキストの組み合わせであり、手間がかかっています。この、基礎部分が堅実でしっかりしていることが本作の魅力的な部分であると言えます。
Wargroove_戦闘1 Wargroove_戦闘2
▲プレイスタイルによってはそのうち、バトルアニメをオフにすることもあると思いますが、バトルの雰囲気もスーファミあたりの「らしさ」を感じ取ることができます。
Wargroove_全体マップ Wargroove_ステータス Wargroove_マップ
▲全体マップ、各ユニットのステータス画面、移動など。

その他、ストーリーモードを進めると自動的に書き込まれてゆく辞書なども
Wargroove_辞書

難易度の高い玄人好みの練られた戦略マップを多数用意、初心者には救済策もあり

本作はSRPG初心者よりも、熟練者向けに難易度調整やレベルデザイン、ゲームシステムを構築しています(ただし、AIの挙動は割とあれなんですが)。

まず、リスペクト元に則りストーリーモードに関しても各ステージの戦闘中に経験値・ゴールド等は一切無くレベルの概念がありません。味方ユニット死亡によるデメリット等もありません。ユニットの能力は敵味方共固定であり、同じ種類のユニットであれば全く能力は変わりません。完全に平等であるとも言えます

「Aのキャラをレベル上げしなくてはいけないから、まずはBの手加減を使ってHPを削って」みたいな今後を考えてのプレイが必要無く、純粋に戦略を考えて遊べてサクサク進む利点がある反面、SRPGが苦手なプレイヤーにとってはクリアするための回避法が無いジレンマを抱えます。

また、各ステージは序盤から広大なマップを使って大量の部隊が戦いあうステージで、各ステージそれぞれマンネリしないよう工夫に満ちています。

  • 構造物が一切無く、ユニットの増強も金額の増加も見込めない中で少数人数のプレイ。(アルケミストの回復魔法に必要な金額が限られているため回復回数に限界あり)
  • ・戦闘犬を用いて視界を確保し隠れた敵を発見していくステージ
  • ・砦の中で捕虜を解放(仲間)しながら戦力を増強するステージ
  • ・強力な敵に追われながら、目的地まで逃亡するステージ
  • ・味方ユニットで守りながら馬車を用いて無力な村人を特定箇所まで逃がす防衛ステージ。

Wargroove_ギミック
▲限られた兵士のみで特定エリアを目指すステージ。特定エリアに辿り着くとイベント後に敵増援の上、目指すエリアが変わります。
Wargroove_犬1 Wargroove_犬2
▲犬の視界を頼りに敵を炙り出して不意打ちを避けながら進みます。

それぞれ、1ステージずつ敵配置やマップ構造を練っておりレベルデザインを考える上では相当調整したのはないかと思います。

反面、序盤からクリア想定1時間以上のマップであり、スパロボやFEといったメジャータイトルでは後半部のステージ構成を序盤から取り入れています。SRPG初心者の中には辛いと感じる方もいるでしょう。

加えてスパロボのようにリセットプレイが不可能で、行動を行うたび、逐一自動セーブになります。間違った行動をしてやり直したければステージの初めからとなります。それなりにシビアなステージが多く、少しのミスも許されない状況が多いため、緊張感は維持できますが、優しい仕様とは言えません。

以上のことから重度のSRPGファンに向けたゲームであると言えます。ただし、初心者に対する救済策も用意しています。難易度調整オプションがあり、敵から受けるダメージの軽減率、1ターン毎に取得できる金額の補正倍率、Wargrooveのウェイトターンなどを操作して味方側の能力を優遇することで難易度が低下します。最大限低下させると毎ターン全ての新兵補充用の構造物で一番効果な新兵を雇ってもお金が余りますし、弱点ユニットからの攻撃を受けても損害は2,3割の減少にとどまります。
Wargroove_難易度調整
▲難易度調整機能。余談ですが、ドイツ産JRPG「Cross Code」でも同様の難易度低下機能を有しており、今後このような補正率による難易度低下は増えていくかもしれません。

長時間マップと言う点は変化しないもののこの機能を使うことで、上記の通り練られたマップを低難易度で楽しむことができます。ただし、クリア時は戦績に応じて☆3まで評価を貰えるのですが、難易度を下げた場合は必ず☆1なので注意。☆はギャラリーのアンロックに必要なため、低難易度でプレイすると一部コンテンツが見れなくなります。

反対に玄人向けにはダメージ軽減率上昇、金額補正倍率の減少などで難易度を上昇させることも可能。細かく調整することができ、RPGのレベルの概念と同様の調整をプレイヤー自らが行えるシステムと言ってよいでしょう。

本編以外にもパズル・アーケード・マルチプレイなど豊富なコンテンツ量

本作はキャンペーンモード以外にアーケードモードとパズルモードが存在します。アーケードモードはキャンペーンに登場した主要な味方・敵12人の中から1人を選択して各キャラ5ステージをクリアするモードです。本編のようなドットの動きも取り入れたシナリオはありませんが、戦闘中の画面左下での会話は用意しており、キャラの魅力を引き出すサイドエピソードを楽しめます。まあ、あまり難しいことを考えず本編の延長上で敵キャラも使えるサイドストーリーぐらいに考えておけば良さそうなので詳しくは省略。
Wargroove_アーケードモード1 Wargroove_アーケードモード2
▲各キャラ5ステージ。会話内容は各ステージ共通ですが、ステージ構成はストーリーモードと異なりランダムである点が特徴。

もう1つがパズルモード。シナリオは全く無し。いわゆるスパロボで言う「ツメスパロボ」。全ての敵を1ターンで倒すことが目的です。本作は敵ユニットの能力・地形効果なども全て予め分かる仕様なので、逆算しながら敵Aには味方Aを割り当てて、敵Bには味方B・Cをと予測して攻撃します。敵からの攻撃は考えなくてもOK(確実に反撃で味方ユニットが撃破され、そこに敵を攻撃できる新たなユニットを配置できるようにする戦略はあり)。
Wargroove_パズルモード1 Wargroove_パズルモード2
▲正直、かなり難しい。

これが程よく難しくて頭の体操になります。1ターンの制限は、時系列的な複雑さが無くルールもシンプル。その点で「ツメスパロボ」より取っ付きやすく、それでいて歯ごたえがあります。問題数は25問なので、これのために購入してとは言えませんが、パズル好きに充分通用するモードだと思います。

マルチプレイ。ローカル・オンライン両方に対応。2人から最大4人プレイまで対応しています。複数のマップから選べますが、基本的に各プレイヤーを平等に画面配置し、初期のユニット数も少なく、比較的短期決戦を想定したマップです。
Wargroove_マルチプレイモード1 Wargroove_マルチプレイモード2 Wargroove_マルチプレイモード3 Wargroove_マルチプレイモード4

もう一点取り上げたいのは、カスタムコンテンツ作成機能。オリジナルマップの作成はもちろん、マップ内にアニメ入りイベントの挿入やフィールドマップの作成まで可能です。ほぼ、本編と同じ物語を作れるレベルのエディタ機能が搭載されています。現時点でも、すでに様々な投稿が確認できます。
Wargroove_カスタマイズ1 Wargroove_カスタマイズ2 Wargroove_カスタマイズ3

と、このようにお腹いっぱいになるほどの豊富なコンテンツと地力がしっかりしたファミコンウォーズ系ウォーシミュレーションが遊べる点において魅力を感じるゲームです。私自身はシナリオの魅力があってこそのSRPGだと思っていますので、ちょっと不満もあるのですが、戦略面の快適さが心地良く、久しぶりに熱中したステラジー系ゲームでした。今後は日本語のユーザーシナリオで名作が生まれることを期待しています(ただ、不具合なのか仕様なのか現時点で2バイト文字が入力できません)。なお、現在は15時間ほどのプレイでありメインシナリオはまだ途中での掲載です。

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