【変身アクションパズル】ちえちゃんは魔法少女 レビュー

ちえちゃんは魔法少女_敗北1

ちえちゃんは魔法少女_タイトル
ちえちゃんは魔法少女[白] (ふりーむ! / RPGあつまーる)

対象:PC、ブラウザ(PC,スマホ)
価格:フリーゲーム

魔法少女の変身シーンのみに注力したツクール製のアクションパズルゲームです。ツクールのシステムはRPGに特化しているため、RPG以外のゲームは他ゲームエンジンの同ルールゲームと比べると、やはりどこかぎこちなさ無さが出てくるものです。その点を克服しており、RPGツクールだからこそ快適に遊べるルール・ギミック作りを意識しています。

身バレしないため、隠れて変身する魔法少女ゲーム

ちえちゃんは怪人と戦う魔法少女。魔法少女に変身さえしてしまえば、怪人など戦闘シーンをショートカットしてしまえるほど快勝。むしろ問題なのは変身を人に見られて身バレすることです。なぜなら、「身バレ」→「怪人にもバレる」→「家に怪人が襲撃」→「家族が被害に遭う」のコンボが待っているからです。そのため、どう一般人や怪人から隠れて変身するか……その点のみに注力を当てています。
ちえちゃんは魔法少女_ルール1 ちえちゃんは魔法少女_ルール2 ちえちゃんは魔法少女_ルール3
▲1ステージ目のみ変身後の戦闘シーンあり。2ステージ目以降は全てカット。

各ステージは幅12高さ13マス内の広さ。この中に一般人やギミックがあります。ちえちゃんにお供のマスコットにより出撃命令が下されます。決定ボタン押下を続けると変身パワーが溜まります。ただし、特定規則で歩行している一般人シンボルなどに見つかってはいけません。そのため、シンボルから離れた位置で変身パワーを溜め、シンボルが近づいたら変身を止めて別の場所で変身……これを繰り返します。押下をやめるとパワーはわずかづつ下降しながらも現状維持。最終的に満タンになると魔法少女への変身が完了してクリア。
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▲変身ゲージが満タンになり、姿が変わるとステージクリア。

ただし。自動的に溜まる「町の被害」ゲージが存在します。ゲージが満タン=一刻の猶予もないほど壊滅的な状況であり、満タンになると正義感の強いちえちゃんはその場で強制的に変身してしまいます。その際の身バレ率は通常の変身以上の広範囲のためよっぽど運が良くないとゲームオーバー確定。町の被害ゲージは変身中下降するため、敵から隠れながらも満タンにならないように調整します。なお、町の被害ゲージは各ステージで自動進行速度が異なり、放っておくとすぐ満タンになるステージも存在します。
ちえちゃんは魔法少女_普段
▲変身ボタンを押していなければシンボルに体当たりしても見つかっても平気。

その他、やり込み要素として町に散らばっているジェムを集めることができます。魔法少女の力の源らしく全て集めるとほんの少しだけエンディングが変化。
ちえちゃんは魔法少女_ジェム
▲制限時間内にジェムを集めてシンボルに見つからないように変身。

敵から最も発見されにくい位置取りを考えるパズル性と、発見されそうになったら即座に変身を停止し新たな変身ポイントを探すアクション性が合わさっており、適度に緊張感を与えて知的好奇心も刺激します。マスのスクロールを廃止したため、限られた位置でどう隠れるかを吟味する必要があります。1ステージ30秒から長くても1分ぐらいのため、瞬間的な快感を追求するゲームとしてよく出来ています。

敵も序盤は一定位置を動き、変身に気づいた時はゆっくり近づく一般人のみです。が、好奇心旺盛で変身に気づくと高速で近寄る子供、変身しようとすると反応して近くまでワープする怪人など簡単にギミックが増えます。と言ってもエリアは5つで、各エリア1つ敵・ギミックが増える感じなので限られてはいますが。
ちえちゃんは魔法少女_子供
▲一般人の場合は気づかれてから発見までのタイムラグがあるのですが、子供は好奇心旺盛なので、気づかれてからすぐに変身を止めないとバレてしまいます。
ちえちゃんは魔法少女_ワープ
▲変身の挙動を示すと数秒後にワープする敵。

敗北バッドのみの明らかになる容赦のないストーリー

本作のメインシナリオはほとんどありません。ちえちゃんとマスコットキャラのやり取りはありますが、ほぼゲームのルール説明と物語のあらすじを軽くなぞる程度です。でも、クルクル変化する立ち絵とちょっとした笑いなどちえちゃんの魅力が伝わってきます。元気に魔法少女していて微笑ましいなと。

しかし、本作の本領はバッドエンドです。各5ステージ単位ごとに2種類のバッドエンド(「変身している時に発見される」「ゲージが満タンの時に発見される」)があり、それぞれでゲームオーバー直行の敗北ストーリーが語られます。こちらは本編とは裏腹にしっかりしたストーリー。そして、CG付き。
ちえちゃんは魔法少女_敗北1
▲敗北の一連。変身を見られたちえちゃんに群がる子供。そしてちえちゃんは現場に間に合うことができずに……。ちなみに敗北バッドのうち、一番マイルドなシーンです。本来はここまで優しい終わり方はしません(いや、これも優しくありませんが)。

一般人に見つかれば「正体をばらさない」ことで脅され、子供に見つかれば「呼び出せば変身すること」で脅さる等で、心理的に追い込まれてゆく姿が鮮明に描かれます。心理的に追い込む状況の描き方が上手いだけに、心と境遇を絶望で埋め尽くすような悲惨な終わり方は心に響きます。まどかちゃんと同じく一見、明るい魔法少女ものに見えるため、ギャップがものすごい。

そして、私が気に入った点は、この敗北系の話を集めていくことで、物語の構造が見える特殊な作りをしていること。例えば上記で説明した魔法少女が見つかるリスクは、この敗北系のうちの1つから判明しました。その他、魔法少女と怪人の関係、怪人側の世界征服アプローチ対策(マフィアとそっくりで笑ってしまった)など、魔法少女を取り巻く世界観がどんどん明らかになってきます。

バッドエンドを避けていくと単なるパズルアクションなのに、実際に読んでみると奥深い点が本作のもう一つの魅力です。ただ、不幸系が好きな特定の方には好まれそうではあるものの、一般的には不快感を覚える方もいると思うので、その点は注意。

施策的に興味を持ったことは、各5ステージ1区切りでエリアが変化していくのですが、6ステージ目をプレイしたら7と11、11ステージ目をクリアしたら12と16が解放されます。そして各エリアとも最初はものすごく簡単でギミックを紹介する程度であり、そこからだんだんと難しくなります。そのため、各エリア間での積みがあっても、ステージ間での積みは無く最終ステージまで簡単に進めます。
ちえちゃんは魔法少女_ステージ
▲ステージ選択画面

バッドエンドがエリアごと単位のため、基本的にエンディング以外でシナリオが読めない事態にはなりません。パズルアクション系でこの発想は斬新です。

プレイ時間は30分ほど、問題は計25問、パズルアクションの斬新さと快適性、パズルとしてもアクションとしても適度に楽しめる両立性があり、暇潰しにはもってこいの作品です。難易度も低めで安心して遊べます。とりあえずシナリオは賛否両論になると思いますが、シナリオが駄目だとしてもパズルアクション部分だけでも遊んでみてほしいゲームです。ただ、残念ながら25問であり、これから面白くなる段階で終わってしまうのは残念な点です。

クリアした雑感として、いくつか謎が残っており、真相はまどかマギカみたいに魔法少女に負担をかける何らかの仕掛けがある疑念がぬぐえません。そのあたりも含めて、別の魔法少女を主人公とした同システム・世界観を使ったシェアウェア版が計画されています。残念ながらこのサイトからリンクできるゲームではないので詳細は省きますが、こちらは問題数も豊富で、さらにシステムも拡張しており、本作の問題点を改善するようです。

ダウンロードはこちら
ふりーむ!:ちえちゃんは魔法少女(ブラウザ&DL)
RPGあつまーる:ちえちゃんは魔法少女(ブラウザ)

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