【メトロイドヴァニア】Touhou Luna Nights レビュー

Touhou Luna Nights_ステージ1ボス2

Touhou Luna Nights_タイトル
Touhou Luna Nights[Team Ladybug]

ナイフ投げと時間停止を駆使する東方二次創作メトロイドヴァニア

メトロイドヴァニアとしてもアクションとしても面白い力作。

本作の開発を行ったTeam Ladybugは公式公認二次創作アクションゲーム製作チームとして面白い実績を持っている開発チームです。期間限定でフリーゲームとして公開されていた「真・女神転生 SYNCHRONICITY PROLOGUE」も完成度の高い愛溢れるゲームでしたし、私は未プレイですが、BD付録「この素晴らしい世界に祝福を!復活のベルディア」、劇場版Fate/stay nightBD付録「RUN!RUN!ランサー!」も高評価を受けています。現在はロードス島戦記のアクションゲームを開発中。

本作は十六夜咲夜を主人公とした東方の二次創作作品です。レミリア・スカーレットにより幻想郷から追い出され謎の城空間に飛ばされます。さらに時間を操る能力を大幅に封印された状態で、この状態で城奥にいるレミリアに会いにいく遊びを提案されます。紅魔館のキャラが中心ですが、それ以外も登場するようです。
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▲まずはドット技術の高さに唸らされるオープニング。

咲夜の基本攻撃は原作に忠実なナイフ投げ。遠距離攻撃型主人公です。一度の攻撃ボタンで直線に3つのナイフを同時投げします。ナイフの位置により上下さがあるため、敵に全て当たれば大きなダメージが(つまり通常ダメージ)、そして3ナイフ全てを含めると当たり判定が非常に大きく、1本の微かなダメージであれば、雑な投げ方でも敵に与えやすくなっています。また、空中から下ボタンと同時に攻撃することにより、斜め下に向かってナイフを放つこともできます。

Touhou Luna Nights_ナイフ1 Touhou Luna Nights_ナイフ2
▲スタイリッシュでかっこいい。そして、モーションも細かく気持ちよく動きます。

MPが続く限りは、ほぼ硬直時間無しで連続して放つことができます。MPは時間で回復。その他、空中でジャンプボタンを押下し続けると下降が緩やかになり、ある程度の空中操作が可能になります。

まず、前提として述べておきたいのは、このナイフ投げは他アクションゲームと差別化が測られ、新鮮さと共に、アクションの軽快さと、気持ちいい攻撃が両立していること。ナイフを3連続して放って敵に全て当たれば9ヒット、さらに横攻撃を仕掛けてくる敵にはナイフを空中から放って、主人公落下直後に直線に切り替えるトリッキーな行動など、ナイフ一つで驚くほどの爽快感があります。上下間を移動する場所では、3連ナイフの大きな間合いで敵に攻撃が当たりやすく、コントローラーの反応が良いため、咲夜を自由自在に動かせます。

この爽快感に拍車をかけるのがグレイズシステム。咲夜を急激に敵の近くまで寄せるとHPとMPを敵から吸収できるシステムです。敵の動きや攻撃を見切って近づいてHPを回復、そして反撃される前にナイフ連射で倒す緊張感と爽快感が綯い交ぜになっています。その他、攻撃ボタンを押し続けて離すと3秒間時間を緩やかにする時間遅延、スキルを利用したりと言った機能があります。
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▲HPとMPを回復させるため、わざと敵に接近して攻撃。これが実際に安全圏から攻撃するよりも手に汗を握り楽しいシステム。

また、本作を特徴づけているのが時間停止。主人公は一定時間に敵・ギミックなどの動体を全て静止させることができます。使用と共にTPが減少していき0で強制解除。TPを残したまま任意に解除することも可。TPも自然回復。この能力は水が固形化するため、水中で使用すると動けなくなったり、水の上を歩く副産物的な仕様もあります。

この仕様を前提にしたギミック配置が定期的に行われており、例えば、水の上からジャンプをしなければ届かない上方への道(水中からジャンプして一旦地上に出ている間に時間停止を使用)、スイッチを押している間だけ開く扉でスイッチを踏んで扉を開けたまま時間停止で通ってしまう方法、スイッチが入ると形を変えるブロック(こちらは時間遅延でも可)などなど、特殊な操作で移動するギミックがところどころにあります。また、時間停止をしながら進まなければいけないところに滝があり水扱いのために通れず、時間停止のON、OFFを使用しながら進む場面も。

ステージが進むごとに、この時間停止が前提の仕様が次々に登場します。トラップ関連では、時間停止能力をしばらく使用不可にする、時間停止中のみ動くギミック、時間停止すると動く方向が逆になるギミック、時間停止しても動きが変わらないギミックなどが次々に登場するようになります。ここまで来ると、時間停止よりも物理法則を変える能力と言った方が妥当でしょうか。

Touhou Luna Nights_時間操作
▲いったん水の上にジャンプしてから時間停止能力の付随効果で水の上に着地、そのまま高台にジャンプして進みます。

雑魚敵もステージを進めると時間停止が前提の敵キャラが増え始めます。通常だと主人公が攻撃しても逃げてしまう敵を時間停止で止めてナイフで撃破可能だったり、行動が速くて追いきれない敵を止めてから攻撃するように、「時間停止」が前提で敵の行動バランスを取っています。また、一定時間で透明・不透明が切り替わる敵には透明の時に時間停止してナイフを何重にも投げつけるような操作が必要です。中には敵が時間停止を使って主人公の動きを一定時間止めてくることも。

この時間停止一つで、ギミック・敵共に他のメトロイドヴァニアと全く次元の異なる面白さを提供できている点は大きな強みでしょう。
Touhou Luna Nights_静止
▲時間停止を仕掛けてくる雑魚敵。主人公もトラップもまとめてストップ。逆に時間停止中に動くトラップは見事に動くので厄介。

快適な操作にはそれに合わせた敵仕様

メトロイドヴァニア系のマップですが、そこまで複雑では無く、1歩1歩地固めのように埋めていくことができ、通れないような通路もあちこちには無く、「ここは2段ジャンプができれば通れそうかな」「ここは鍵が必要かな」とある程度暗記が可能であまり迷いません(これは先のステージができるごとに変わりそうですが)。また、探索ゲームの雰囲気を感じながらも、何度も行き来することなく必須アイテムが揃っていく構成になっていることもアピール点。
Touhou Luna Nights_マップ
▲エリアマップ。

ショップ、異なる2空間のワープ、探索中に見つけたアイテムによるスキル取得やステータス上昇など基本的なメトロイドヴァニアの機能は備えています。
Touhou Luna Nights_アイテム1 Touhou Luna Nights_アイテム3 Touhou Luna Nights_店 Touhou Luna Nights_ワープ

そしてドットの描き方が細かくとても丁寧。和風の建物や地下水路ダンジョンなどなど1ステージと言ってもどんどん背景も変化していきます。基本的に東方に合わせて純和風ファンタジーな世界観ですが、その中に公衆電話(セーブポイント)や自販機(HP回復)があります。そして、メトロイドヴァニアの元となる悪魔城のオマージュもところどころにあります。敵配置や地形の作り方が絶妙で先に先にと進めたくなる作り。
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二段ジャンプなどの操作を快適にする便利能力がない序盤でも超快適な操作性、そして時間停止や時間遅延などのチート級スキル。一見、簡単そうに見えますが、この条件でも簡単すぎず、難しすぎずの良バランスです。基本は簡単なのですが、油断すると敵の攻撃を受けてしまう敵配置。それでいて、アクション初心者でも楽しめそうな難易度。酔い表現が思いつかないけど任天堂マリオ的な丁寧さがある楽しさ。レベル制ですが、経験値バランスも通路の敵を倒していけば順調に上がるようになっており、適正レベルでいけば敵を倒すことも容易。
Touhou Luna Nights_スタン
▲そして新スキルなどを入手してだんだん快適になっていきます。この他に、小さな通路を潜れるようになるスライディングなどのスキルも。

そして、だんだんと二段ジャンプなどを覚えていきます。中でも時間停止中のナイフに乗れる能力を覚えると空中も自由自在。
Touhou Luna Nights_ナイフでジャンプ
▲高い箇所への移動も自由自在。

これらを駆使したアドベンチャーなエリアが多いことも一つの特徴です。ほんのちょっとだけ考えないと進めないようにギミックや敵を配置。基本的に上記時間停止のギミックを組み合わせたパターンで構成されています。また、ギミック系の通路は行きと帰りの2回移動することになるようエリア設計をしており、帰りはギミックの難度や種類が異なるようになっています。3度通る必要がある場合はワープショートカットでの短縮で通らなくてもよかったり、2段ジャンプなどを覚えて簡単に通れるようになるなど簡単に移動できるよう配慮しています。
Touhou Luna Nights_時計塔1 Touhou Luna Nights_時計塔2 Touhou Luna Nights_時計塔3 Touhou Luna Nights_時計塔4
▲悪魔城でもお馴染みの時計塔も本作の場合は鬼畜。適宜時間停止を使ってギミックを操作しなければなりません。でもあるギミックは時間停止中に動き、あるギミックは……と相互に干渉してて原作とは別の面で難易度高め。

初見が難しいので、多少何度かのゲームオーバーがあるかもしれませんが、何度かプレイすればプレイヤースキルが上がり、通れるようになる絶妙なバランスになっています。

ボス戦の敵は基本的に東方系キャラが登場でかなり動きます。ステージ1は、弾数も少なく弾の速さも遅め。冷静に対処すれば避けやすくなっています。攻撃種類は3種あり最初は敵の動きに翻弄されます。でも、プレイを続けていると(アクションが苦手な私が)慣れれば全ての攻撃を避けれるようになるため、とても楽しいボス戦でした。
Touhou Luna Nights_ステージ1ボス1 Touhou Luna Nights_ステージ1ボス2
▲ボス前には吊り橋が落ちる演出とボス「美鈴」との会話(つまりボス戦は今後も東方キャラということですね。)。
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▲何もしていない時はバリアを張るため、敵の攻撃に合わせてナイフを飛ばすようにしなければいけません。時間停止の能力無しでも隙を狙えますが、時間停止があると隙だらけの状態で大量のナイフを飛ばすことも可能。
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▲HPが3/4になると使用してくる一直線攻撃。とても速いため、通常速度では回避不能。時間停止が必須で大活躍します。

ステージ2以降も様々な東方キャラが登場。それぞれ3,4種の攻撃法を持ち、ある程度ダメージを与えると特別に強力な攻撃を仕掛けてきます。特に後半は弾幕っぽいような展開も。Rabi-Ribiほどヤバくはありませんが。そして、横スクロールと弾幕は難易度の面で問題があるのですが、本作の場合、これまた時間停止が役に立ちます。時間停止で時間を止め、弾幕の間をスライディングなどで切り抜けていく爽快感は格別。

ボス戦は敵がタフなため、長時間化する問題もありますが、アクション・シューティングが苦手な私も何度かゲームオーバーになるとコツが分かって倒せるようになる適切な難易度でした。
Touhou Luna Nights_ボス戦1
▲緑色の攻撃は時間停止中のみ動きます。放たれるとその場に接触するだけでダメージになるので、なるべく早く時間停止して動かさなければなりません。また、時間停止で安心していると襲ってくるパターンもあります。
Touhou Luna Nights_ボス戦2 Touhou Luna Nights_ボス戦3 Touhou Luna Nights_ボス戦4
▲速い攻撃や弾幕は時間停止+スライディングでどんどん避けていきます。

まとめると難易度が簡単すぎず難しすぎず適切で楽しい系統のレベルデザインと育成バランスに優れているメトロイドヴァニアゲーム。そして操作の快適性と新鮮さが抜群。ステージ1クリアまで、だいたい30分ほど。短い時間の中でも分かるほど、アクションゲームとしての面白さが詰まったゲームです。最終ステージは若干初心者殺しもありますが、アクションが苦手な方には特にオススメ。玄人の方もドットの動きや背景の良さ、ギミックの工夫が他メトロイドヴァニアより一段と優れています。これだけ練られているアクションゲームも珍しいと感嘆しながらプレイしていました。

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